震えました……
第144回九州地区高校野球大会 鹿児島県予選
3回戦
鹿実 011 100 110=5 H10 E1
城西 000 000 040=4 H5 E5
【投手】
[実]高田–玉田
[城]八方、小峯–田代翔
【長打】
二=笹山(実)、多和田(城)
【試合経過】
共に2年生右腕が先発のマウンドに上がった一戦。鹿実は城西先発八方を攻め立て、2回に8番玉田、3回に4番吉木のタイムリー、3回には2番笹山のスクイズで効果的に得点を重ねると、2番手小峯からもバックのミスに乗じて追加点を奪う終始優位な展開。
投げては公式戦初先発の高田が7回まで2安打無失点の好投。立ち上がりこそ制球に苦しむが、キレの良い速球と要所での強気の内角責めで城西打線を翻弄し、大一番での抜擢に応えた。
劣勢の城西も8回に意地を見せ、一挙4得点の猛攻で1点差に詰め寄るが反撃もここまで。
最終回の守りも3人で締めた鹿実が昨秋のリベンジマッチを制し4回戦にコマを進めた。
戦士の魂が躍動
いやあ、本当に素晴らしいゲームでした。
新チームから誰よりも指揮官の叱責を受け続けた4番の泥臭いタイムリー、ここぞで見せた内外野の好守、ジワジワと相手投手を追い詰める粘り強い攻め、そしてついに頭角を現した期待の逸材の好投………
一つ一つのプレーに、燃えるような魂を感じた気がしました。これこそが鹿実の野球です。これがあるから、私は鹿実ファンをやめられないんです。新チーム以降のベストゲームと言って良いでしょう。
さて、今日の試合を振り返るとします。
まずはなんと言っても先発高田投手でしょう。この起用には驚きました。宮下監督がここ数年、強豪校相手に下級生投手を先発させた例はほとんど無かったので。
立ち上がりの投球は正直言って不安を抱きました。簡単に四球を許すし、リズムも良くない。緊張なのかどこかフワフワした投球に感じました。ただ、そこをバックはよく盛りたてたと思います。今日は内外野とも好守が光りました。
高田投手はアウトを重ねる毎に躍動感が出てきて、中盤以降の立ち振る舞いは堂々たるものでしたね。
ピンチを迎えた時ほど良い球が行くところや、要所で内角を厳しく突く度胸。やはり期待されるだけのものがあります。
今後、相手チームに研究され対策を練られるのは間違いないはずで、これからが大変だとは思いますが、とりあえずは結果を残した事に対して自信を持って貰いたいものです。
そして、下級生の頑張りを支えた上級生野手陣の活躍も見事でした。
今日は初戦のような長打攻勢は影を潜めましたが、逆に鹿実らしい泥臭く粘り強い攻めを展開できたと思います。
個人的には4番吉木選手のタイムリーが嬉しかったですね。決して良い当たりではありませんでしたが、貴重な追加点をしぶといバッティングでもぎ取ってくれました。これで次戦以降も当たりが出てくれるといいですね。
終盤には苦しい場面も作りましたが、一点差に迫られた場面でも選手たちに焦りの表情は見えなかったです。ここに大きな成長を感じました。
それでも9回表に追加点を奪えず1点差のまま迎えた裏の守りは流石に「先頭出たらヤバイかも」と思いましたけどね(汗)
ただ、それを杞憂に終わらせてくれたのがショート折田くんのファインプレーでした。三遊間寄りのヒット性の当たりに飛びつき、素早く一塁に送球。あれで9割方勝利を確信しました。
とにかく全員で掴んだ勝利と言って良いでしょう。誰がヒーローではなく、全員がヒーローでした。
あの秋の敗戦から、厳しい冬を乗り越え、良くぞここまでのチームを作り上げてくれました。その成長の証を、これ以上ない結果で形にしてくれたと思います。
ここを負けたらNHK旗出場やシード入りも危ぶまれただけに、とにかくに勝てて良かった、本当に良かった……
………と、喜びに浸ってばかりはいられません。まだベスト16に入っただけですし、目標は夏の頂点ですから。まだまだ試練はつづきます。ただ、一応これで昨年の甲子園初戦敗退から続く悪い流れを断ち切れたのは間違いないはず。
ここからは前を見て進むだけ。これまで通り一歩一歩着実に成長していくことを、ファンとしては何より願います。このチームはまだまだ強くなれると確信していますから。
決して「谷間の世代」なんかじゃない。それを結果で証明し続けて欲しいです。