「エース不在」は全員の力でカバーせよ!

第101回全国高等学校野球選手権鹿児島大会

二回戦

鶴      翔00000=0  H2 E0

鹿児島実41204X=20 H16E0

▽投手

【鶴翔】山下、浦

鹿実】森重

 


終始圧倒

鹿実が地力の違いを見せつけた。

先発の2年生サウスポー森重は初回こそ安打を許すものの、公式戦初先発を思わせない堂々の投球。キレのある速球とスライダーで翻弄し、鶴翔打線に二塁を踏ませなかった。

打線は初回に川口のタイムリーを皮切りに4点を先制すると、2回には一挙12得点のビッグイニング。4回にも追加点を挙げ、終わってみれば16安打20得点。5回コールドで初戦突破を決めた。

 

アクシデント
という訳で、今日の試合に関しては特に言う事もないでしょう。バント失敗など細かなミスはありましたが、そこは次戦までに修正してくるはず。

次の試合も勝利を期待したいです……と言いたいところですが、一つ残念なニュースが。

春以降チームの主戦級として活躍してきた髙田隼之助投手が、今大会ベンチから外れる事になりました。メンバー表には背番号10となってますが、直前の登録変更で内野手の2年生原口選手と入れ替わったようです。

チームとしても戦力的に大きな痛手である事はもちろん、本人の気持ちを思うと無念でなりません。逆境からスタートしたこのチームの春の躍進を支えたのは、間違いなく彼の投球です。春の対城西リベンジマッチ、勝因の一つが彼の力投でした。もし彼の存在がいなければ、ノーシードという厳しい立場で今大会で挑む事を強いられたかもしれません。

NHK旗の試合記事では厳しい事を書いてしまいましたが、きっと夏はこの敗戦を糧に成長した姿を見せてくれると信じていただけに…ただただ残念です。

とはいえ、彼はまだ2年生。甲子園を目指すチャンスはまだ2回残されていますし、彼自身が持つ素質はその先の世界を目指せるもの。誰よりも悔しいのは髙田投手だと思いますが、再びグラウンドに立つ日を目指して前を向いて頑張ってほしいです。

そして、ベンチ入りのメンバーはこの一年共に主戦としてマウンドに立ち続けてきた髙田投手の思いも背負って戦ってくれる事でしょう。三年生たちは来年の鹿実を背負って立つであろう彼に対し、「上級生の背中」を示してくれるはずです。

髙田選手だけでなく、彼らはベンチ入り出来なかった部員も含めての「鹿実野球部」の代表を務める猛者たち。

今こそ、その結束が試される時です!

 

 

 

「秘密兵器」投入!救世主となるか?

この一年間苦しみ続けた投手陣。そんな中の髙田投手離脱は、繰り返しになりますが間違いなく痛手。

とはいえ、振り返ってばかりはいられません。夏の大会の幕はとうに上がっているのですから、目の前の戦いに集中しなければなりません。

いよいよやってきたこの夏の初戦。「開幕投手」に指名されたのは、髙田投手と同じ二年生のサウスポー森重温季投手でした。

密かに関係者の間では評判になっていた存在でしたが、公式戦では今日の試合が初先発。私も春の九州大会の明豊戦の2番手で出てきた記憶はありましたが、当時は彼が夏このような大役を任される存在になるとは思ってもみませんでした。

しかし今日の投球内容は、相手打線の力を差し引いたとしても大役を任されるに足る素晴らしいものでした。

テンポの良い投球間隔としなやかな投球フォームで、それでいて腕の振りも鋭いから打者としては予想以上に手元にボールが飛び込んで来る感覚になるでしょう。実際、今日は速球で多くの空振りを奪っていました。

さらに良かったのがスライダー。高校生でスライダーを武器にする投手は珍しくありませんが、そのほとんどは速球との目先を変える事や打たせて取る事を目的としたもの。しかし森重投手のスライダーの特異点は、途中までほとんど速球に近い軌道で来て、ベース近くで急激にスライドする事です。今日はその軌道に対処しきれず、多くの相手打者が速球のタイミングで空振りしてました。

高めにボールが浮くシーンも少なく四死球は0、安打は僅か2。

相手打線や試合展開を考慮する必要はあるでしょうが、個人的には次戦以降の登板が楽しみになる投球でしたね。

真価が問われるのはもっと先かもしれませんが、上位チームには左の強打者を揃えるチームが多いため、彼の台頭は戦力的に大きなプラスになるはずです。

経験値の少なさはたしかに不安材料ではありますが、ここまできたらそうも言ってられません。彼と加島投手という2年生が軸となる投手陣を、上級生野手が今日のようにしっかり援護していってほしいところです。

もちろん、エースナンバーを背負う三年生福留投手の奮起にも期待してます。

 


このチームはまだまだ未完成。ただ、この夏一戦一戦成長できる余地を残してます。

どんなに努力しても、結果が出るのは一瞬。だからこそ、この一年間の努力と自分たちの力を信じて戦ってほしい。

 

次の試合も勝利を期待してます!