ライバルの底力

第61回NHK旗争奪鹿児島県選抜野球大会

二回戦

鹿児島実 000 002 000 0=2 H8 E0

樟       南 022 000 000 0=4 H5 E0

鹿実】髙田、加島-玉田、城下

【樟南】吉田、城須-神山

本塁打=川口(鹿実)

二塁打=髙田、加島(鹿実)、菊池(樟南)

 

劣勢はね返せず…宿敵に連敗

鹿実の先発マウンドは今大会からエースナンバーを背負う2年生右腕・髙田。初回こそ三者凡退で切り抜けるものの、二回に一死満塁のピンチを迎えると押し出しの四球と犠牲フライで2点を献上。3回にも一死二三塁から四番小手川に2点タイムリーを打たれたところで降板。3回途中ノックアウトとなった。

2番手の2年生右腕・加島が試合を立て直すが、打線は樟南先発の1年生左腕・吉田の前に沈黙。ストライクゾーンを広く使う投球に翻弄された。

6回に3番川口のツーランホームランが飛び出すものの、その後は樟南2番手右腕・城須に力で押し切られ反撃及ばず。昨秋新人戦に引き続き、宿敵の前に苦杯を舐める形となった。

 

 

息を吹き返した宿敵

悔しい…とにかく悔しいですね。樟南相手に負けるのは…

安打数、選んだ四死球は全てこちらが上。にもかかわらず、2回と3回のたった2イニングのチャンスをしっかりモノにされ、こちらは主砲川口選手の一発の2点のみ。10残塁

力負けした感覚はありませんが、「うまくしてやられた」という感じ。久々に「樟南らしく立ち回られて負かされた」という感覚を思い出しました。

しかしーーーそうでなくては。そうであろうとも。それこそが我らが宿敵樟南です。

不振だと、結果が出ないと散々言われても、夏にはキッチリ合わせて来るのがこのチーム。肉を切らせて骨を断つような狡猾さ。こうでなければ伝統の一戦は面白くありません。

とはいえこれで新人戦に続き2連敗。前チームの対戦も含めると3連敗です。

無論、やられっぱなしではいられません。この敗戦は、絶対無駄にしてはいけません。次に対戦する事があれば、是非ともリベンジを果たしてほしいところですね。

というわけで、今日もポイントをまとめて試合を振り返りたいと思います。

 

 

正念場の背番号1

この試合の主導権を樟南に明け渡すきっかけになったのは、やはり序盤の4失点でしょう。スコアが動きにくいこのカードで、このビハインドは重すぎました。

今日先発のマウンドに上がったのは髙田投手。失礼を承知の上で少し厳しい事を言わせて頂くと、この日の投球は背番号1を背負う投手に相応しくありませんでした。

満塁のピンチを招いた時、8番の1年生投手相手にストレートの押し出し四球。その次の回も簡単にピンチを招いた後四番打者に痛恨の2点タイムリー…

ランナーを貯めた経緯に関しては不運な当たりや見方の拙いプレーもありましたが、それにしても易々と点を与え過ぎな印象は拭えませんでした。

これは私の個人的な印象ですが、まだまだマウンド上で相手打者とではなく自分自身と戦っているように感じます。髙田投手としては今日は序盤から思うように行かず、「試合に入りきる前に点を取られた」という感じだったかもしれません。しかしそれは一発勝負のトーナメントでは致命的。たった一球でそのチームの一年を賭けた勝負が終わってしまうのが、夏の選手権なのです。

打者にとって最も怖いのは、向かってくる投手です。己のボールを信じて思い切って腕を振られたら、甘いコースでも打ち損じてしまうもの。

今日の樟南の2人の投手は、まさにそういった投球をしてました。2人とも決して針の穴を通すような制球がある訳ではないものの、吉田投手は一年生ながらストライクゾーンを幅広く使い鹿実打線を翻弄しました。センターからリリーフした城須投手は、元々野手が本職の選手。しかし持ち前の地肩、身体能力の高さを生かし思い切って腕を振り、ボールの勢いで打者を押し込む投球。

それぞれが自分の持ち味、どういうボールを投げたら打者が嫌がるか?をよく理解した上でボールを放っているように見えました。

私は髙田投手の事を力のない投手だとは思ってません。素材は申し分なく、むしろ鹿実の命運を握る存在だと思っています。だからこそ、本当の意味で自分の武器は何か?打者が嫌がるボールは何か?という部分を磨いてほしい。それが出来れば、また一段上の投手に成長できるはずです。

今日の投球をしっかり反省した上で、夏マウンドに立つ時は常に打者と戦える投手になっていてほしいと願っています。

 

 

守備からリズムを作れず

無論、今日の敗戦は髙田投手だけの責任ではありません。僅か2点に抑えられ追いつくことすらできなかった打線、何よりノーエラーながら今日はバックの守りも拙いプレーが散見されました。

記録上はヒットになったものの、やや球際のプレーや挟殺プレーに甘さがあったように感じます。そういった意味で、今日負けたらノーシードの樟南とはこの試合にかける執念の差を見せつけられた形かもしれません。

今日途中交代を命じられたショート折田選手は、この春から再三好守でチームのピンチを救ってきました。難しいゴロやヒット性の打球にも追いつく広い守備範囲に、深い位置からでも強く正確な送球。その高い守備力を私は買っています。ですが課題を挙げるならば、球際の捕球技術だと思います。

今日許した内野安打、薩南工戦のエラーも決して見た目ほど簡単な打球ではありません。ただ、ああいった打球を事もなく処理する事で、初めて「守備からプレッシャーを与える」という事になるはず。もちろん本人も自覚はあるでしょう。

これは鹿実の先輩たちも通ってきた道です。甲子園で華麗なプレーを披露し注目を集め、現在は愛知大学リーグの名ショートとして君臨する長谷部大器選手(愛知大)も、レギュラーになった当初は捕球、送球ミスが非常に多い選手でした。ですが、誰よりも多くノックを受け続け、指導者にも食ってかかるような執念で守備を磨き続けた結果、あのような名手に成長したのです。

折田選手も能力は負けていないと私は感じています。

まだまだ夏本番まで時間はある。やれることは山ほどある。もう一度その技術を磨き直し、夏も正遊撃手としてチームを支えてくれる事を期待してます。

 

 

3学年の力を結束させよ

これから一カ月は人一人が実力を伸ばすチャンスがあります。一人一人個々のレベルアップなくして、強いチームは作れません。前のエントリーでも述べましたが、このチームは発展途上。だからこそ伸び代があるし、ベンチ入り、ベンチ外の選手にもチャンスがある。

幸い今年は3年生だけでなく、1年含め全学年が試合に出ています。

課題ばかり挙げましたが、新戦力も台頭してきているのも見逃せません。代打からの出場で結果を出した原口選手や、途中出場の文田選手、平選手など2年生の出番も増えてきましたし、今日の試合を立て直した加島投手の好投も夏に向けて大きな収穫です。何より正捕手争いに加わっている1年生城下選手も大きな存在になってきているはず。

こうなってくると3年生はうかうかしてられません。「最後の夏の3年生の意地」は、下からの突き上げがあって初めて発揮されるものだと思います。

OBが口を揃えて「最も辛かった」というのが夏前の一カ月。これをどう乗り越えるか。どう立ち向かうか。このチームの真価が試されます。

私は一貫して「今年のチームは谷間の世代」という周囲の評価に異を唱え続けてきました。決して弱いチームなんかじゃない。彼ら一人一人は力があるんだ、と。

だからこそ彼らには、それを自らの実力と努力で証明して見せてほしいと思います。

さあ、泣いても笑ってもも夏はすぐそこ。

 

 

泣こかい笑ろかい、泣こよかひっ跳べ!

 

苦しみながらの勝利

第61回NHK旗争奪鹿児島県選抜野球大会

二回戦

鹿児島実 000 000 100 2=3 H8 E1

薩南工業 010 000 000 0=1 H7 E0

鹿実】福留-城下、玉田

【薩南】永江、土本-竹内

三塁打=川口(鹿実)

二塁打=吉木、山添(鹿実)

 


粘り勝ち

鹿実は2回に薩南工に先取点を奪われると、その後も追加点こそ許さなかったがピンチを迎えては凌ぐという苦しい展開。打線も薩南工先発の右アンダーハンド永江の前にゴロの山を築き、6回まで僅か1安打無得点。

劣勢で迎えた終盤7回、この日2番に座った椎原が先頭打者として出塁すると、4番吉木、途中出場の笹山が続き同点に。

その後チャンスを作るも勝ち越せず迎えた9回裏、先発左腕福留が二死満塁のピンチを招くも、辛くも凌ぎ切り延長戦へ。

延長10回表、先頭打者はここまで粘りの投球の福留。薩南工2番手土本から四球を勝ち取ると、犠打で進塁後キャプテン山添のセンター頭上を越える二塁打で勝ち越しのホームを踏む。その後も3番川口の三塁打で追加点を挙げ、鹿実が2点勝ち越す。

裏の守りを凌ぎ切り、ベスト8進出を決めた。

 

 

 

もう試合経過を書いてて疲れます(笑)なんとも息苦しくなるような試合でしたね……ここまで苦戦するとは、正直予想外でした。

やはり薩南工は毎年いいチームを作ってきましたね。試合中に一昨年秋の準々決勝を思い出しました。あの時も薩南工が相手で、右の本格派と左の技巧派のめまぐるしい継投の前に9回まで点が奪えず延長に縺れ込むという展開でした。

この日は序盤で先制も許しましたし、打線も中盤まで完璧に抑えられましたから「もしかして今日はこのまま…」と負けを覚悟したものです。

ただ、こういう劣勢をひっくり返す試合は貴重な経験になるはずですし、今後を考えると間違いなくプラスになるはず。エラーこそ1つ出ましたが、今日も守備から崩れるような兆候はありませんでした。粘り強く戦えるのがこのチームの強みですしね。

それでは、ポイントを絞って試合を振り返ってみようと思います。

 


「エース」の背中と、支えるバック

この試合先発の福留投手は春まで背番号1を背負っていたものの、今大会の背番号は「10」。エースナンバーを後輩の髙田投手に譲る形に。

たしかに、春の県大会から重要な試合での登板を任せるのはどちらかといえば髙田投手でしたし、登板機会も少なくなってきたことも事実。まだまだ不安定ながらも180センチを超える長身から140キロ近い速球を放る髙田投手と見比べると、福留投手には絶対的な球種がありません。それ故に厳しくコースを突いた結果四球が増え、ランナーを背負って甘くなった球を打たれるという場面にも何度か出くわしました。

ただ、私は今年のチームの投手陣を引っ張るのは彼だと思っています。

それは以前も述べたように、マウンド上での姿勢。先頭打者に四球を許したり、軽々と安打を許す事も少なくありませんが、そこからピンチを迎えても動揺を見せる事なく自分の投球を貫く芯の強さ。この試合ではそんな彼の真骨頂を見せつけられたような気がします。

四球が多いのも、決して「逃げ」の姿勢からではありません。むしろこの日は「四球を嫌って中途半端なボールを投げるくらいなら、自分らしく厳しいボールで勝負する」という信念すら感じました。これこそエースの姿ではないでしょうか。

そんな「エース」の粘りの投球に、バックもしっかり応えます。

先程も述べたように、この日は守備で崩れるような兆候が全くありませんでした。

山添くん、折田くんの二遊間は相変わらずの安定感で、難しい併殺を再三成功させてましたね。

球威で圧倒するタイプの投手ではないだけに、バックの好守は心強いはず。

この「粘りの守り」が終盤の逆転劇を生んだと言えるでしょう。

私が何度も主張しているように、鹿実の野球は好守一体型の野球。守りで作った流れを攻撃につなげる、というもの。

鹿実らしく戦って勝った。そう言える試合ではないでしょうか。

チームの成長ぶりに、私は手応えを感じずにはいられません。

 


新オーダーの成果は?スタメン争い激化!

今日の試合で印象的だったのがスターティングオーダーです。今までとは全く違う試みを感じ取る事が出来ました。

1番山添選手、3番川口選手、4番吉木選手…この三人は最早不動のレギュラーと言えるでしょうが、驚いたのは2番に座った椎原選手。一年生大会では吉木選手を差し置いて四番に座っていたように、元々この世代の主軸打者候補として期待された選手です。

秋も3番を任されていましたが、春は故障からメンバー外となり、その間に折田選手と藤村選手が台頭しポジションを奪われる形に。

今大会も二桁背番号でしたが、小技や足を生かすタイプの選手ではない彼を2番に据えてくるとは…プロ野球でも今「攻撃的2番打者」がトレンドになりつつありますが、このオーダーを継続するかどうか、次戦も注目したいです。

今日はその椎原選手のヒットが、反撃の口火となりました。それまでゴロを「打たされていた」アンダースロー独特の球筋を、引っ掛ける事なく綺麗にセンター前へ運ぶバッティング。まさに「低く鋭い打球」のスローガンそのものでした。

椎原選手がファーストを守った関係で、4番の吉木選手はライトに。ただ、元々は外野も任されていた選手なので動きに違和感もなく、鋭い送球で走者を補殺する場面もありました。今後はこういった起用方法も増えてくるかもしれません。

ただ、今日の同点タイムリーを放ったのは、新オーダーの割を食ってスタメンを外された途中出場の笹山選手でした。アンダースロー攻略のお手本のような流し打ちでしたね。彼もここまで守ってきたセンターのレギュラーの座を、そう易々と手放したくないはず。

春の大会勝負強い打撃でチームを支えた5番の叶選手も、決してレギュラー安泰の立場とは言えなくなってきました。

また、代走から途中出場した2年生の平選手も1安打を放ち、徐々にですが存在感を放ってきています。走攻守とも高い能力を備えており、先輩を差し置いてスタメンに起用される日も近いかもしれません。

激しい競争は、チームを強くするためには必要不可欠です。本人たちは必死でしょうが、この状況はチームとしては歓迎すべきでしょう。

これを乗り越えてグランドに立つ者に、初めてチームを背負って戦う権利が与えられるのです。

まだまだこのチームは発展途上、しかしだからこそ強くなる余地がある。まだまだその過程を見続けていたいと、私は強く願っています。

 

 

 

仕切り直し、伝統の一戦

新チーム最初の公式戦の昨秋市内新人戦。樟南との「伝統の一戦」がいきなり実現しました。

とはいえ、その試合内容は「伝統」という格式とは程遠いお粗末なもの。両軍合計7人の投手をつぎ込み、合わせて23点の乱打戦。最終回鹿実が6点をリードするも、樟南が一挙7点の猛攻でサヨナラ勝ちするという、とにかく最後まで落ち着きのない展開でした。

この頃から両チームとも、「柱になる投手がいない」と囁かれるようになりました。

鹿実は当時登板しなかった福留投手や髙田投手が台頭し、なんとか夏のシード権が確保できるところまで持ち直すことができましたが、樟南は一年通してここに苦しみ続けた印象です。

しかし、今大会2試合を勝ち進んできたその戦いぶりを見ると、おそらくここに来てチーム状態が上がってきたのでしょう。まだまだ例年ほどの安定感は無いかもしれませんが、れいめい戦で好リリーフを見せた一年生の西田投手や、本職は野手ながらも鹿屋農戦の終盤に登板し追撃を阻んだ城須選手など、新戦力が台頭してきています。

やはり伝統校。結果が出ずに苦しんでもキッチリ夏に合わせてくるのは流石です。

樟南はポイント的に今大会で決勝まで勝ち進まないとシード権が厳しい状況。それだけに鹿実戦も全力で来るでしょう。鹿実もそれに負けない気迫で戦ってほしい。本気の樟南に勝つ事は、これ以上ない経験値になるはずです。

何より、九州大会以降負け続きの流れを変えてほしい。夏のシード獲得以上に、どういうチーム状態で夏を迎えるかの方が非常に重要なはず。

この強敵に勝って、良い流れを呼び込んでほしいです。

 


簡単な相手でない事は間違いありませんが、次戦も勝利を期待してます!

freak

今更ながら、私が鹿実野球部を応援するようになった経緯をお話ししようと思います。かなりの長文になりますが、どうかご容赦下さい。

まず一番最初のきっかけは、やはり1996年の春の選抜優勝です。この当時私は小学校低学年。優勝の瞬間はたまたま高速道路のパーキングエリアのテレビで見ていたのですが、その場にいた大勢のお互い面識がないであろう大人たちが共に喜びを分かち合う姿を見て、子供心に「凄い出来事が起こったんだ」と心を揺さぶられたのを憶えています。

さらにその2年後の夏の甲子園杉内俊哉投手のノーヒットノーラン。96年優勝当時は野球に興味が無かった私ですが、この時は徐々に野球のルールや仕組みを理解し始めた頃。2年前に鮮烈な印象を植えつけた「鹿実」が、またも全国の舞台で凄い事をやってのけたーーー強い、凄い、カッコいいものが好きな男の子が、これに惹かれないわけがありません。自分が生まれ育った鹿児島の名を全国に響かせる鹿実の快進撃に、少年の私は心臓を鷲掴みにされたような感覚でした。

この二つの出来事がなければ、鹿実野球部のファンにはなっていなかったかもしれません。

 

だだ、この後数年間は鹿実に代わり、ライバル樟南が鹿児島の高校野球の覇権を握る事になります。

99年から2003年まで、鹿児島の高校野球空前絶後夏の甲子園5年連続出場。特に最初の2年間は圧巻の強さでした。

まず99年は上野弘文投手と鶴岡慎也捕手のバッテリーに、現在は樟南のコーチも務める青野毅選手が2年生ながら四番に座るという強力な布陣。後にプロの世界に進むこの3人を中心に夏の甲子園ベスト4まで勝ち進みました。敗れた準決勝も優勝した群馬・桐生第一に、上野投手が好投しながら9回表に均衡を破られるという惜敗。私の記憶記憶にある範囲では、この年の樟南が鹿児島県勢で最も深紅の大優勝旗に近かったのではないかと思っています。

翌年も引き続き主砲を務め、エースでキャプテンという立場まで加わった青野選手がチームを牽引し甲子園ベスト8。

秋春の県大会では苦戦しながらも、夏は目覚ましい戦績を修めるその戦いぶりは試合巧者そのもの。まるで「俺たちは甲子園を知っているのだ」と誇らしげに言わんばかりの、チーム全体の確固たる自信を感じました。

先程述べたような「凄い、強い、カッコいい」が好きという子供心の大原則に身を委ねたら、鹿実から樟南に鞍替えしてもおかしくないかもしれません。ですが、私はこの時も樟南よりも鹿実を熱心に応援してました。もちろん全国で戦果をあげる樟南の活躍は鹿児島県民として誇らしくはありましたが、それ以上に甲子園行きを樟南に阻まれた悔しさ、強敵としての憎たらしさの方が、この当時は強かったと思います。私の「鹿実ファンとしての自我」は、むしろこの頃さらに強力に形成されていったといえるかもしれません(笑)

 

鹿実が樟南に勝って甲子園に行って欲しい。そう強く願う気持ちとは裏腹に、鹿実野球部はこの後緩やかに低迷していきます。夏の県大会の戦績は99年から準優勝→ベスト4→準優勝→ベスト8と、決して悪い成績ではありません。ですが、甲子園優勝を経験し常に甲子園出場という結果を求められる名門としては苦しい時代だったのもまた事実でしょう。

02年のチームは本多雄一主将を中心に春の九州大会を優勝した強力なチームでしたが、最後の夏は樟南戦にたどり着く事なくベスト8敗退。この年を最後に、長年鹿実野球部の指揮を振るい続けてきた久保克之監督(現総監督)は「甲子園は近くに見えて遠き処」という言葉を教え子に贈り勇退しました。

 

その翌年からは、鹿実野球部の苦難の時代が始まります。

02年秋からは鹿実のエースとして甲子園出場を果たした竹之内和志監督が指揮を執りますが、その年は外から見ても苦しい台所事情が手に取るように感じ取れました。春とNHK旗で準優勝……という結果だけ見たら決して悪くはありませんが、その内容は「御三家」の最古参である鹿商に決勝でなければコールド負けという大差で敗れるというもの。

エースが打たれても、変える投手がいない。下窪投手や杉内投手の育成に携わった竹之内監督の手腕をもってしても、投手陣の編成が上手くいかない……

この頃は鹿実の長い歴史の中で最も部員数が減り続けた時代。特に03年の3年生は十数人程度という少人数。樟南を始め多くの有力中学生選手が鹿実以外の学校を選んだ時代だったのかもしれません。

だから当時の野球好きな大人たちは「鹿実の野球は終わった、厳し過ぎるし古すぎる。あれでは今の子供は選ばない」と口にして憚らなかったのをよく憶えています。そして、それを聞く度に死ぬほど悔しい気持ちになった事もーーー

03年のチームは結局それまで外野のレギュラーだった強肩の野手を急遽エースに据えるものの、夏は3回戦敗退。久保総監督は前の年に「近くに見えて」と仰りましたが、この年は甲子園がとにかく遠く見えた、遠く感じた一年間でした。翌04年はなんとか立て直し甲子園出場を成し遂げますが、さらに翌05年の春の県大会ではまさかの初戦敗退。これが大きな波紋となり、竹之内監督は責任を取る形で退任。

僅か三年足らずの任期ではありましたが、様々な葛藤を抱えながらも鹿実の苦しい時代を支えた竹之内監督の時代を、私は忘れることができません。

そして、この時代を知っているからこそ、私は「鹿実は終わった」と何度言われようとも笑い飛ばす事が出来るのです。

 

竹之内監督の後を引き継いだのが現在も指揮を執る宮下正一監督ですが、その後も数年は戦績が上向きません。その間に共学化を契機に創部し長澤宏之(現創志学園)監督の下力をつけた神村学園や、「ロッコウ旋風」で全国的な話題になった鹿児島工が甲子園で躍動します。いよいよ「鹿実は終わった」が県民レベルで浸透してきた07年夏、鹿実野球部は久々の県大会決勝まで辿り着きました。

結果はサヨナラ負けで甲子園への切符を後一歩で逃したのですが、私はそのチームに漠然とながらも大きな変化を感じたのを憶えています。

決勝までの勝ち上がりこそ地味な接戦ばかりでしたが、とにかく自信を持って戦っている。必死でボールに食らいつき、泥臭く一点を奪いに行き、水も零さぬような鉄壁の守備で「勝ち切る」野球。何より、グランドに立つ9人の選手が一つの意志を持つように規律、統率が取れた。まるで軍隊のような野球。

ーーー今までの鹿実とは何か違う……変わった?いや、そうじゃない、「戻った」んだ。そうだ、鹿実の野球が帰って来たんだーーー

甲子園こそ届きませんでしたが、私はこの年の戦いぶりに鹿実野球復活の大きな手応えを強く感じました。負けた悔しさよりも、鹿実野球の真髄をその目に焼き付ける事が出来た。その事が嬉しかったのです。

翌年、鹿実は再び夏の決勝の舞台に立ちます。相手は春の選抜に九州代表として出場し、甲子園で強豪平安(現龍谷大平安)と延長引き分け再試合の死闘を演じた鹿児島工。当時高校を卒業し県外に出ていた私は、決勝を見るためだけに帰郷しました。リベンジを成し遂げる彼らの勇姿を、その目で見ないわけには行かない、と。

ロッコウ旋風の余波があり、どちらかと言えば鹿工推しの声が多かった一戦でも、彼らは普段通りの「鹿実野球」を実践しました。プレッシャーがかかる舞台でも……いや、プレッシャーそのものを力に変えるような戦いぶり。強敵鹿工を4ー2で退け、見事一年前の先輩たちが成し遂げられなかった甲子園出場を果たしたのです。

甲子園の舞台では水を得た魚のように、県大会打率2割台だった打線が奮起し、初戦は14得点の大爆発。中でもバスター打法の9番打者田之尻選手の満塁ホームランには驚きました。勝負強さは確かに持ち味でしたが、ここまで長打力があったのかと……

その後の宮崎商・赤川投手との投げ合いでは背番号10のエース岩下投手が魂の投球、報徳学園戦での劣勢の9回に3番森田選手がサウスポー近田投手から放った意地の一発も思い出深いです。

 

ーーーそうか……これが鹿実野球なんだ。だから自分は鹿実野球が好きなんだーーー

 

惜しくも夢の舞台に届かなかった07年、そして夢の舞台で躍動した08年。この2年間で私は鹿実野球をより深く理解し、今まで以上に好きになりました。悔しさから這い上がり努力し続けた選手たち。そして彼らの力を最後まで信じ、厳しく指導し続けた宮下監督。この軌跡を知ってしまったら、もう一生ファンをやめることなんてできません。

 

鹿実の野球は2019年の今日も、古い、時代遅れと言われることがあります。大半は否定的な意見です。技術より精神力を鍛える指導方針はナンセンス、長時間のハードトレーニングは効率が悪い、今時こんな指導は虐待ではないか、と。

しかし、大舞台での彼らの底力を支えるのは、この非効率で時代遅れなこのスタイルです。

「あれだけのことを乗り越え、あれだけのことをやった。だから負けるはずがない」

そう強く思える事こそが、鹿実野球の強みなのです。

一緒に努力し、共に怒られ、時には選手同士で厳しく言い合い、ぶつかり合う。青春時代にここまで本気になれる場所がある事は、幸せな事だと思います。だからこそ、メンバーは選手はベンチに入れなかった仲間のために戦えるし、スタンドの仲間はどこよりも力強い声援で後押しするできるんです。

 

近年は鹿実の厳しさ、過酷さを理解した上で「鹿実で野球がやりたい。鹿実の野球がやりたい」と門を叩く選手が増えて来たと聞きます。ファンとしては嬉しいですし、誇らしく思います。

そして、卒業後に「鹿実でこいつらと野球やれて良かった」というOBの声を聞く度にさらに嬉しくなってしまいます。

 

だから、古いと言われようが、時代錯誤と言われようが、鹿実野球部に鹿実らしく在り続けて欲しい。

ただただ外から見守ることしか出来ない一人のファンに過ぎませんが、私はそう強く願います。

逆襲へ、夏連覇へ、最後のピース

前回エントリーこれが全国レベル……鹿実野球部、九州大会初戦敗退 - Bの魂の続きを。

しかし、あれだけ強かった明豊も次戦でコールド負けしてしまうとは……野球は難しいスポーツです。

では改めて試合を振り返ってみます。

 

まず先発メンバーを見て驚かされました。スタメンマスクが三年生正捕手の玉田選手ではなく、一年生の城下拡(入来中/串木野ドリームズ)選手。昨年U15日本代表に選出された逸材ではありますが、入学したての一年生をいきなり九州大会という大舞台で起用するとは、宮下監督も思い切ったなあと思ったものです。それだけ期待の高い選手ということなのでしょう。

ただし、結論から言えばこの大胆な起用が裏目にでた形となりました。初回の守りでいきなり3点を献上する形に。戦前私は「明豊が上手ではあるが、勝機もある」と見ていましたが、それは「序盤をロースコアに抑えた上で先取点を取れた場合に限る」というもの。そう言った意味では途中で点差こそ詰め寄ったものの、この初回の失点が試合を決めてしまったといえるかもしれません。

もちろん失点が全て城下選手の責任とは言えませんが、やはり入学一ヶ月しないうちに扇の要を任せるのは荷が重かったという印象でした。中学時代バッテリーだったはずの高田投手とは微妙に息が合っていなかったように感じましたし、ピンチを招いた場面で間を取るような場面も見られませんでした。最も、それを一年生に求めるのは酷な話。これもいい経験です。とはいえ捕球、送球動作やたった一打席のバッティングを見たら、とても一年生とは思えない高い能力を感じさせてくれました。順調に行けば、鹿実の看板を背負って立つプレーヤーになることは間違いないでしょう。今回はほろ苦いデビューとなってしまいましたが、今後の成長と活躍が楽しみです。

 

序盤から3点のビハインドを背負う事となった鹿実。先発の髙田投手は県大会同様制球に不安を抱えての投球でしたが、2回以降は代わった玉田捕手の好リードでなんとか持ち直します。厳しく突いたインコースの速球には球威があり、明豊打線も詰まらされるシーンもありました。彼の最大の武器はこの速球。球速こそ130キロ台ながらも、地を這うように伸びるこの球がしっかりコースに決まった時はそうは打たれません。

ただし現状は速球一本槍。変化球の精度が安定せず、緩急やボール球を振らせるような投球が難しい。それ故にコースを狙い過ぎカウントが悪くなり、甘く入った球を痛打される……県大会では見逃されていた彼の弱点に、明豊打線は容赦なく畳み掛けてきました。流石は全国4強です。明豊のバッターは全体的にポイントが近いため選球眼もよく、見逃すか?と思ったタイミングからバットが出て来るためバッテリーとしても対処が難しかったでしょう。

結局髙田投手は5回持たず降板となり、この春最短イニングでのノックアウトとなりました。

この結果を持って今足りない物が何か、彼自身が強く自覚したでしょう。試合後のコメントからも、それを窺うことはできました。

やはりストライク先行で攻める投球が出来なければ、相手打線に付け込まれてしまう。そしてこちらの反撃ムードに水を刺すことになる。相手打者が嫌がるような厳しい球をコンスタントに投げ込める真の制球力を身につける必要があります。勿論、一朝一夕とはいかないでしょう。根気よく自分の身体、心と向き合い、技術を向上させていかなければなりません。

四死球こそ多いですが、彼は元々制球の良い投手。この春得た経験を、必ず活かしてくれるでしょう。今はまだまだ投手として成長段階。小手先の投球に走らず、「強く厳しい球」を投げる事に注力して欲しいです。

 

その後鹿実は公式戦初登板のサウスポー森重投手やエース福留投手を投入しますが、結局明豊打線を止めきれず8回コールド負け。打線は見せ場を作っていただけに、やはり守備で相手の勢いを止めきれなかったのが痛かったですね。打ち合いでは相手い分がありますから。

鹿実の野球は守備で作った流れを攻撃に活かし、奪ったリードを活かして主導権を握る攻守一体型の野球。だからこそ、守備でリズムを作れないのは致命的です。その鍵を握るのは、マウンドに立ちプレーの最初にボールを触る投手です。この投手陣の立て直しが夏の連覇の最大の鍵になるのは間違いないでしょう。

初登板だった森重投手も、決して力のない投手ではありません。短いイニングではありましたが。髙田投手より制球は安定しており、しっかり自分の意図を持って投球をできているように思いました。まだまだ実戦機会が必要だとは思いますが、夏頃には戦力として計算できる投手になっている事でしょう。

そして私が誰よりも期待したいのは福留投手。彼には三年生エースとして、投手陣を、そしてチームを引っ張る存在になって欲しい。髙田投手、森重投手と下級生が力を付けてきてはいるものの、このチームのエースナンバーに相応しいのは彼だと私は思います。マウンドでの立ち姿や打者に立ち向かう姿勢、落ち着きなどは、やはりこれまでの経験と3年間揉まれてきたものを感じさせます。彼は入学当初は登板機会が少なく、新チーム最初の公式戦の市内新人戦でも登板機会を与えられませんでした。そこから這い上がり背番号1を勝ち取った男です。この試合でも大勢決した終盤まで投げる事が出来ず、駄目押しの得点を許した事はきっと悔しかったはず。その悔しさを是非とも次以降の登板で晴らして貰いたいです。

 

この九州大会で、鹿実野球部の現状の力が露わとなりました。ただ、あくまでも「現状」です。力が足りないのなら、今からつけてやればいい。まだ4月。7月の選手権までは充分時間があります。他のチーム以上に力をつければいいのです。

それが可能である事を、今回鹿実に立ち塞がった明豊は証明している。その事は前回エントリーでも触れさせていただきました。鹿実もそうなれると私は信じています。

だって、負けてから強くなるのが鹿実ですから。追い詰められてから底力を発揮する不屈不撓の魂の野球。それが発揮されるのは、きっとここから。

 

さあ、逆境の鹿実を見せてくれ。

 

 

これが全国レベル……鹿実野球部、九州大会初戦敗退

第144回九州地区高校野球大会

2回戦

鹿児島実4–11x明豊(大分推薦)

※8回コールド

鹿実 000 200 02=4 H 7  E0

明豊 300 030 23=11 H14 E5

【投手】

[鹿]高田、森重、福留–城下、玉田

[明]吉開、岡本、若杉–成田

【長打】

三=後藤(明)

二=吉木2、高田(鹿)、野邊2、後藤、釘崎(明)

【試合経過】

明豊が選抜ベスト4の力を見せつけ鹿実を圧倒。初回から鹿実バッテリーの立ち上がりを攻め立て3点を先制すると、中盤5回にも強打にエンドラン、スクイズを絡め3点。先発高田をノックアウトした。終盤も森重、福留の両左腕を攻め続け、8回コールド。

鹿実は攻撃面では4番吉木の二本の長打、高田の適時二塁打など見せ場を作ったが、投手陣が試合を作ることが出来なかった。

 

 

 

……分かっていたとは言え、やはり全国上位チームは甘く無かったですね。こういう結果になることも十分予想はしていましたが、地元開催でのコールド負けはやはり辛い……

休日という事もあり会場には鹿実の勝利を期待した多くのファンが来場してましたから、そこで鹿実野球の強さを示せなかった事は、ファンとしては素直に残念です。

 

しかし一方で、この結果を殊更に悲観する必要はないと思います。去年の今頃は県のベスト8で宿敵樟南相手にコールド負け。そこからの甲子園出場だった事を忘れてはいけません。更に言えば、今回立ち塞がった明豊も、2年前の九州大会は初戦コールド負けでした。相手も今回の鹿実と同じく、選抜で結果を残した福大大濠。そこからチームを鍛え直し、その年の夏は九州勢最高成績のベスト8に勝ち上がりました。以来明豊は九州高校野球を牽引する存在になっています。明豊を筆頭に大分県勢は三校全て初戦突破と目覚ましい活躍ですが、数年前の地元開催の九州大会では今回の鹿児島県勢と同じく全チーム初戦敗退を喫しています。そこから県を挙げての高校野球強化計画が始まり、その取り組みが結果となって現れ始めているのでしょう。

結果が出ていない時こそ、好調な時は見過ごしてしまいがちな己の弱さと向き合う良い機会。重要なのは、この敗北を次の糧にして立ち上がる事です。それが出来れば今回の大敗も、後から振り返った時に貴重な財産となっているはずーーー

過去にも言いましたが、敗北を知って強くなるのが鹿実野球です。過去の先輩たちも、敗北の悔しさを糧に強さと逞しさを手に入れていました。今年のチームだってそうです。今回は結果を残せませんでしたが、秋の新人戦の時と比べたら驚異的な成長を遂げています。その成長の歩みを知っているからこそ、今回の結果で躓く事は絶対にないと信じることができるんです。

まだ夏の県大会まで2ヶ月半。冬場と違い、その日々の成長を試合を通して見る事が出来る。ファンとしてこれほど楽しい季節はありません。

今後も私は、このチームの成長の過程を見続けて行こうと思います。

 

 

次回の記事では、今大会で改めて浮き彫りになった具体的な課題について触れるつもりです。

 

強豪校に立ち向かえ!〜九州大会組み合わせ決まる〜

今年は地元鹿児島開催となり、県勢4校が出場する九州大会。

その組み合わせが決まりました詳細は県高野連のページで確認できます。

http://www4.synapse.ne.jp/k-b/144kkumi.pdf

 

さて、鹿実の初戦の相手は明豊となりました。むう、いきなり強敵です……

ソフトバンク今宮健太選手の母校でもお馴染みの大分の強豪ですが、智弁和歌山時代選手として全国制覇を経験した川崎監督が就任してからはまた違った力強さを身につけてきた印象です。

一昨年秋はヤクルト濱田選手らの強打が全面に押し出された野球で夏ベスト8。この間の選抜では複数の好投手を駆使して、頂点まであと少しと迫るベスト4まで勝ち上がりました。もはや九州を代表する強豪と言ってもいいでしょう。鹿実も吉村投手らがいた一個上の代では、九州大会でコテンパンにやられています。当時のリベンジの機会であり、選抜上位チームを倒し名をあげる絶好のチャンスです。

 

……と言いたいところですが、そう上手く行かないのが高校野球です。

明豊は甲子園で結果を残したチームだけあって、非常に完成されたチーム。鹿実も秋からすれば実力をつけてきてますし、攻撃力、守備力は九州でも充分戦えるレベルまでに引き上げてきていると思います。ただ、現状投手陣はまだまだこれからといったところ。これから経験を積み。課題をクリアしていかなければならない段階です。

そう言う意味では、いきなり全国上位のチームと対戦できるのは間違いなくプラスになるはず。

とにかく今ある力全てをぶつけに行った上で、今後の成長に生かして欲しい。個人的には、結果以上にそういった部分を望んでいます。

 

勿論地元開催である以上、結果も求められます。球場に足を運ぶファンのほとんどは、県代表である鹿実の勝利を期待しています。その期待と声援を力に変えて戦って欲しい。ホーム開催の九州大会は秋も合わせて4年に1回。貴重な体験になるはず。

あの、いつもとは違う鴨池の声援を味わい、そして楽しんで戦いましょう!

 

新一年生の入部、そして県大会を欠場した椎原選手もおそらく復帰してくるでしょう。

応援するこちらとしても俄然楽しみになってまいりました。

県大会以上に素晴らしい戦い、そしてこの一戦の勝利を期待して、いつもと変わらぬ声援を贈りたいと思います。

 

キバレ、鹿実野球部!

 

 

掴んだ手応え、新たな課題。鹿実、準優勝で九州大会へ。

数日溜めたぶん、まとめてやります。

 

第144回九州地区高校野球 鹿児島県予選

▼4回戦

鹿実 002 063 =12 H17 E0

鹿工 000 000 =0 H3  E2

【投手】

[実]福留、松元、鶴田–玉田

[工]堀脇、政倉–木村

【長打】

二=叶、川口、藤村、玉田、折田(実)中野(工)

 

▼準々決勝

鹿実 301 010 220=9 H16 E0

枕崎 101 001 000=3 H8 E0

【投手】

[実]高田–玉田

[枕]小湊、迫、五十川、前野–福永

【長打】

三=藤村、折田(実)

二=叶、吉木(実)

 

▼準決勝

鹿実 102 010 04=8 H9 E0

鹿商 000 000 00=0 H4 E2

【投手】

[実]福留、松元–玉田、内田

[商]東、東村–北園

【長打】

二=吉木、折田(実)

 

▼決勝

鹿実 000 000 401=5 H10 E1

神村 012 012 01X =7 H9 E1

【投手】

[実]高田、福留–玉田

[神]田中瞬、桑原–松尾将

【長打】

三=田中天(神)

二=吉木、玉田(鹿)古川(神)

 

私が実際に観戦したのは準々決勝枕崎戦だけなので試合経過コメントは割愛させていただきます。

準優勝、そして九州大会出場、この結果以上に選手個々の、チーム全体としての成長を実感出来た事。それがこういう結果として現れた事が本当に嬉しいです。

全員が新チーム結成時と比べ、強く逞しくなってました。

大会序盤は当たりのなかった4番吉木選手も準決勝以降は主軸としての活躍を見せましたし、初戦で不安定な投球を見せた福留投手も4回戦以降無失点でエースとしての役割を果たしました。玉田選手の正捕手としての好守に亘る活躍や、新主将山添選手のリーダーシップ、新たに3番に座った川口選手の打撃も頼もしかったです。

そしてなにより、下級生ながら3試合先発を務めた高田投手。決して安定感のある投球とは言えませんが、彼がチームの戦力として欠かせない存在となった事は非常に大きいと私は思います。強いチームを作るためには下級生世代の活躍が必要不可欠ですし、大型化、スピード化が進む現代高校野球では彼のような投手を育てる事が上を目指すためには必要不可欠。

決して楽な展開ではなかった中で2試合完投させ、決勝も苦しい投球ながら8回途中まで高田投手を投げさせた宮下監督からは、なんとしても彼を一人前に育てあげようという強い意志を感じました。

そして高田投手も、プレッシャーの中良く投げたと思います。

ただ、神村との決勝では彼の課題が全て出た格好となりました。四死球9が示す通り、まだまだ投手として未完成。指にしっかりかかった時の速球の勢いは素晴らしいのですが、その球が安定して決まらない。ボール先行となり無駄なランナーを出し、ピンチを迎え痛打を食らう。その流れを食い止める事が出来ず、チームも勢いを削がれる形になりました。

とはいえこれは彼にとって非常に良い経験になったはずです。神村は県内屈指の強打を誇りますが、それだけでなく簡単にボール球を振らない選球眼や、揺さぶりをかけ投手にプレッシャーを与える強かさなど、総合的に優れたチームです。だからこその9四死球6失点に繋がったといえるでしょう。今抱えている課題をこれ以上ないほど痛感できたのではないでしょうか。こういうチームを倒さない限り、全国の舞台へは立てません。本人も今回の投球は悔しいでしょうし、これを必ず次へ繋げて欲しい。悔しさをバネにして強くなるのが鹿実野球ですから。

さらに成長した姿が観れる日を、いちファンとしても楽しみに待ちたいと思います。

攻撃面でも、この試合では序盤から中盤にかけて得点を奪う事が出来ませんでした。先制して主導権を握り、守備のリズムに繋げるのが鹿実の野球。それが一切発揮されず、反撃が遅くなってしまいました。この部分をさらに磨き上げて行って欲しいです。

神村の県内連勝記録を止められなかったことは残念ですが、間も無く九州大会が控えてます。全国クラスの強豪の実力を肌で感じられる貴重な機会ですし、経験を積んでさらなるチーム成長を期待したいところです。

まだまだ四月。ライバルチームはこれからさらに力をつけていくでしょうし、鹿実もそれに負けるわけにはいきません。これまで通り、一歩一歩着実に、鹿実らしく確かな歩みを進めていってください。

 

このチームは、絶対にまだまだ強くなる。私はそう確信しています。