チャレンジャーからいざ王者へ!!鹿実野球部、決勝に挑む。

私はこのブログでは、一貫して鹿実野球部への私なりの言葉でのエールを贈る事を心掛けてきました。

そうは言っても、今このエントリーを制作しているのは決勝戦当日未明。鹿実野球部選手たちは携帯を持っていませんし、関係者や保護者の方々も就寝している事でしょう。今から綴る私の言葉は、本日決勝を戦う選手たちには届きません。故に「今このタイミングでブログを更新する事に何の意味があるのか?」という疑問が何度も頭を過ぎりました。

ですが、私には今このタイミングでなければ記す事の出来ない思い、甲子園という夢舞台が懸かった大一番の前夜に鹿実野球部のファンとして書き記したい言葉を抑えきれませんでした。選手たちには伝わらなくとも、意味などなかろうとも、これから私が思うままのエールをここに綴らせていただこうと思います。

まずはその前に、ここまでの戦いを振り返りっていきましょう。

 

第104回全国高校野球選手権 鹿児島大会

鹿児島実業野球部、今大会戦績

※一回戦は割愛

 

2回戦

鹿児島実100 261=10H12 E0

喜  界000 000=0H2 E1

【投ー捕】

鹿実:森山、久留須、筏ー濵﨑綜

喜界:住友晴哉、住友晴城、竹下ー盛

 

3回戦

国  分012 000 000=3 H8 E0

鹿児島実240 000 000=6 H9 E1

【投ー捕】

国分:竹之内、新町ー福留

鹿実:久留須、森山、松元、赤嵜ー濵﨑綜

 

準々決勝

鹿児島 000 000 000=0 H3 E2

鹿児島実020 112 000=6 H13 E1

【投ー捕】

鹿高:徳、森山、新村ー宇田

鹿実:赤嵜ー濵﨑綜

 

準決勝

鹿児島実000 003 000 04=7H12 E3

鹿屋中央010 000 200 00=3H6 E1

【投ー捕】

鹿実:赤嵜ー濵﨑綜

鹿屋:郡山、愛甲ー永浜

 

改めて見ると、楽なゲームは一試合も無かった事が見て取れます。2回戦こそコールド勝ちではありましたが、序盤は喜界の選手たちの気持ちのこもったプレーに押され、なかなか思ったようなゲーム運びが出来ませんでした。3回戦の国分戦も序盤こそ優位に試合を進めますが、相手バッテリーの老獪な攻めに追加点を奪えない苦しい展開に。ただ、そんな中でも反省点をしっかり洗い出して臨んだ準々決勝の戦いぶりは見事でした。打線の徹底された低く鋭い打球を飛ばす意識と、エース健在を印象付けた赤嵜投手の完封劇。チーム編成に苦心し、今季なかなか拝む事のできなかった快心の勝利でした。

そして、延長11回まで縺れた準決勝。相手は秋の大会で逆転負けを喫した鹿屋中央。あの試合での9回に許したビッグイニングが、何もかもが上手く行かなかった今年を象徴していたように思います。当時と違い怪我人も癒えベストの布陣で臨んだ試合でしたが、やはりそこは試合巧者鹿屋中央。一筋縄では行かせてくれませんでした。敵将が「コンパクトに振り抜く鹿実打線には合わせ難いはず」とマウンドに送り出した左腕郡山投手は、その目論み通り鹿実打線に立ち塞がります。変則気味のフォームと、投球毎に間合いを変えるしたたかさ、キレのある変化球に手を焼けば、守っても4番川井田選手にソロホームランを許す重苦しい序盤となりました。

しかし、劣勢の中でも鹿実の選手たちに焦りの色は見えませんでした。ビハインドでも一気に逆転を狙わず、二死にしても堅実にランナーを進めに行く宮下監督の冷静な采配と、それを忠実に実行する選手たち。それにまず応えたのが、この一年もっとも苦しみを味わった駒壽主将でした。目前で赤嵜選手が申告敬遠された直後の打席で放ったのは、誰もがその結果を確信する程の特大の逆転スリーランホームラン。ダイヤモンドを一周する駒壽主将から溢れた笑顔には感慨深いものがありました。中学時代からの先輩であり、3年間鹿実の正捕手を務め上げた城下拡選手から受け継いだ主将という肩書きと、扇の要というポジション。それは彼にとって想像を絶する重圧だった事でしょう。実際、彼の捕手としてのプレーを見た多くの方の感想も「苦しそうにプレーしてる」といったものでした。送球イップスになったとの話も耳にしています。チームも勝てない日々が続く中、その結果捕手からレフトへコンバートされた事にも悔しさを抱いていたかもしれません。そんな過去を切り裂くような一振りには、ここまでの努力の成果を感じずにはいられませんでした。屈辱から這い上がり、ここぞというところで力を発揮するのが鹿実野球だと私は信じています。駒壽主将もまた、プレーでそれを体現してくれました。それでこそ、鹿実のキャプテンです。

屈辱からの這い上がり…といえば、この選手を忘れてはいけません。この日の決勝打を放った一ノ瀬選手です。ここまで何度も広い守備範囲と、堅実なプレーでチームを救ってきた名手が、この日は3失策。打っても無安打と全く良い所なし。宮下監督はそんな彼を交代させず、最後までグランドに立たせ続けました。まだ下級生であり、よりプレッシャーのかかる準決勝という舞台。気持ちの立て直しなど、普通なら困難なはずです。それでも彼は、最後の最後で監督の信頼に応えました。本人曰く気持ちで打った一打は、彼だけでなくチーム全員の思いが乗った様に私は思います。

次々とシード校や強豪が敗れる今大会において、苦しい場面を何度も跳ね除けての決勝進出。ここで喜んでいられないのは理解していますが、何よりも嬉しいのは勝った上で選手、チームの成長を実感できる事です。あれだけの逆境の中、よくぞここまで辿りついてくれました。ファンとしては、これ以上の喜びはありません。

 

……とは言いつつも、ここまできたら欲が出てしまうのもまた否定できません。来る決勝戦。是非とも勝って甲子園行きを決めてほしい。私はファンとして、まだまだこのチームの戦いを見続ていたいです。そして、甲子園という晴れ舞台で、鹿実を再び轟かせて欲しい。4年前金農扇風に沸く100回記念大会直後、私は鹿実があの大会で吉田輝星投手擁する金足農相手に初戦敗退を喫した悔しさを抱えたまま、このブログを立ち上げました。鹿実野球部は甲子園という舞台に忘れ物をしたままなのです。是非とも先輩たちの無念を晴らす夏にして欲しい。そう強く願います。

決勝の相手は、選抜出場校大島。名実ともに大会ナンバーワンの実力を誇る大野稼頭央投手を擁するこのチームは、間違いなく今までで一番の強敵となるでしょう。スタンドの空気も、おそらく大島の夏史上初の偉業を期待し後押しするはずです。

それでも、この夏にかける思いだけは鹿実も譲れません。

 

最高の舞台で、最高の相手と、最高の勝負を。そして、願わくば最高の結果を。

 

私は試合を見る事は叶いませんが、本日も心から鹿実野球部の勝利を祈り、応援させていただきます。

 

 

あと一つ、全員で勝ち取れ!!!