鹿実野球部、九州王者を倒し夏初戦突破!!

◆第104回全国高校野球選手権鹿児島大会

1回戦

鹿児島実010 000 000 01=2 H8 E0

神村学園000 100 000 00=1 H6 E3

【投ー捕】

鹿:赤嵜ー濵﨑

神:朝吹、内掘ー富﨑

 

本当に、選手の皆さんがやってくれました。

組み合わせ抽選でどよめきを起こしたこのカード。甲子園常連校であり、今年の春の鹿児島、九州王者である神村学園との2年連続の対戦。ただ、昨年がお互い勝ち進んだ準決勝の舞台であるのに対し、今回は一回戦。ここに一年間順調に勝利を積み重ねた神村に対し、怪我人続出で不本意な戦いに終始した鹿実という明確な違いが存在しました。下馬評は神村優位で、宮下監督ですら「胃が出るようなプレッシャーで怖かった」と口にするほど。私もこの日が来る事を純粋に楽しみにできたかと言えば、そうではありませんでした。

情けない話、「もし負けたらどうなるのだろう」そんな事を戦う前から考えたことも一度や二度ではありません。

しかし、グランド上の鹿実ナインはなんと勇敢で逞しかったことでしょうか。

「夏の借りを夏に返す」

このチーム内に浸透したスローガンに嘘偽りはない。まるで選手たちがそれをプレーで体現しているように思いました。

 

今日の試合、まず赤嵜投手の熱投に触れずには語れません。

昨年の神村戦は勝利こそしたものの、彼にとっては打ち込まれた苦い経験でしかありません。その後疲労骨折が発覚し、年明けまで登板できない苦しい一年間になり、エースを失ったチームも低迷。ただ、夏のリベンジを誓ったチームはエースの復帰を待ち、そしてこの日のエースはその信頼に見事に応えました。11回完投1失点。失点を喫した4回以外は先頭打者の出塁を許さず、明確なピンチも8回のみ。持ち味の速球とスライダーに加え、右バッターの外に逃げるチェンジアップのような球を有効だと感じました。マウンド上で動じず淡々と投げるその姿に、私はエース復活を確信しました。

また、彼を支えた女房役の濵﨑捕手の働きも見逃してはいけません。要所要所ではマウンドに向かい間をとるなど扇の要としてしっかり役割を果たしてましたし、なんと言っても延長11回の勝ち越しタイムリーも彼の一打。打撃を期待されながらも、捕手としての守備力を不安視され一時は外野にコンバートされた選手ですが、この試合ではほとんどそのような不安を感じさせませんでした。この先も攻守共にチームを勝利に導く活躍を期待していきたいところです。

さらに、ショートで再三に渡る好プレーを見せた一ノ瀬選手を中心とした内外野の守備の堅さも見事という他ありません。この守備の安心感が、結果的に勝利をもたらしたのだと思います。

とはいえこの結果は紙一重のもの。相手の神村は間違いなく強いチームでした。これまでのネームバリューや九州大会優勝という実績からそう感じるのではなく、この一戦だけ見ても選手個々の力や鍛えられた能力は見てとれます。私は鹿実野球部には、今後この激闘を戦った相手チームの強さを証明する戦いをしてほしいと強く願います。それが九州王者を降したチームの責任であり、戦ったライバルへの最大の礼儀だからです。

 

夏一本に絞り、プライドを捨てて戦ってきたこの一年。どんな逆風にも耐え抜いてきたこのチームの苦労が、結果として報われるようファンとして祈っております。

 

 

 

最後に余談ではありますが、ここのところ更新が滞ってしまっていた事についても触れさせていただきます。

これは正直に言うと今季の鹿実の不調がショックだった事もありますが……私自身の身の回りで大きな変化があり、野球にのめり込めない時期があったのが理由です。心機一転新しい事に挑戦しようと思っても跳ね返され、挫けそうな時期もありました。それでも、鹿実野球部に対する情熱は失う事はありませんでした。

今日の試合を見て、挑戦する事とはどういう事か。戦う覚悟とはいかなるものか。それをひと回りも下の野球少年たちに教えられたように思います。鹿実野球部選手の皆さんには、素晴らしい試合を、そして運命に立ち向かう勇気を与えてくれた事に感謝申し上げます。

 

次の試合も、心からの声援を贈るつもりです。キバレ!