主将の一発で快勝8強入り!優勝線戦には異常あり?

遅ればせながら、試合とここまでの勝ち上がりの感想を。

 

第148回九州高校野球鹿児島大会

◆2回戦

鹿児島実030 100 001=5

国分中央000 100 003=4

鹿実:赤嵜

国中:安藤、河野

 

2回戦については全く見る事が出来なかったため短めになりますが、「とにかく勝ててよかった」というのが素直な気持ちです。

トーナメント表を見た時に序盤の最大の山場がこの試合だと予想はしていました。相手は昨年の夏の準優勝校であり、一昨年鹿実の夢を阻んだ国分中央。試合巧者としても名高いチームです。

この試合に宮下監督は、背番号7の赤嵜選手を先発投手としてぶつけてきました。左の好打者として下級生ながら既にチームの主力に成長しつつある彼を大事な試合のマウンドに立たせるあたり、期待と評価の高さを伺えます。

そして、結果彼はこの試合を1人で投げ抜き見事勝利投手に。最終回こそ国分中央の粘りに苦しみましたが、充分期待に応えたと言える活躍です。

サウスポーと言うこともあり、今後も貴重な戦力を担うことは間違いないでしょう。

私は彼の打者としての素晴らしさは既に認識しているため、今度はマウンドでの活躍を見るのが楽しみになりました。

 

◆3回戦

鹿児島商020 000 10=3

鹿児島実161 301 1x=12

鹿商:三浦、伊地知、坂口

鹿実:大村、筏、井上

 

この試合はKKBが専用アプリで中継してくれたこともあり、現地に行くことができない中しっかり観戦することができました。一昔前は夏の大会以外の高校野球情報を手に入れるのは一苦労だっただけに、こういった直接甲子園に繋がらない大会まで中継してもらえるのは高校野球ファンとして非常に有り難いです。

試合内容ですが、まずはこの人の活躍に触れない訳にはいきません。チームの扇の要にして主砲、城下拡主将の先制ソロホーマー。この打球には驚きました。少し差し込まれたかな、といった打球がグングン伸びて左中間スタンドへ。県立球場のあの方向に左打者で放り込める打者はなかなかいません。

彼のプレーは鹿実ファン、高校野球ファンとしてだけではなく、ただの野球好きとして「一体どれほどの選手になるのか。上のステージでどこまでやれるのか?」そんな事に興味を注いでしまいたくなるような選手です。入学以降まだ甲子園の土を踏んではいませんが、今年の夏こそはあの舞台で全国の猛者たちと対峙する城下選手の姿を見たいですね。そのために、チームを勝利に導くプレーを今後も見せてくれると信じてます。

主将はもちろんの事、とにかく打線の活発さが目立った試合でしたが、一方で見え隠れした課題も散見されました。

まずは守備の乱れ。この日ショートに入った藤田選手のエラーを口火に、一時鹿商に逆転を許しています。彼は元々セカンドの選手。私は技術的な事は素人ですが、まだまだ足の動きが本物のショートではないように感じます。ここは本来は途中出場した駒壽選手が死守しなければならないポジションのはず。現状ではそこまでベンチ、チームの信頼を得られていないという事でしょう。

駒壽選手の大柄ながら動けるセンス、藤田選手の俊敏さは間違いなく非凡なものがあります。だからこそ、その能力を活かしたプレーができるように、今後の成長を祈らずにはいられません。同級生同士切磋琢磨して、鹿実の正遊撃手に相応しいプレイヤーになってもらいたいです。期待してます。

後は投手陣。私が気になっていたのは昨年秋エースナンバーを背負っていた大村投手の状態です。秋敗れた城西戦は球も走らずコントロールも乱れる散々な内容。投球フォームもやや下半身が使えていないように感じました。

しかし、この試合では意図的にインコースを狙い詰まらせるシーンが何度もあり、秋120㌔台だった球速がコンスタントに130㌔台中盤を記録するなど、いい意味で秋とは別人の投球内容でした。投球フォームも力強くなってきたように感じます。とはいえ、鹿商の中心打者にはキッチリ捕らえられていたのもまた事実です。彼の最大の魅力は指にしっかり掛かった速球です。その球威と精度はまだまだ磨く余地があるでしょう。更なる進化を求めて行って欲しいですね。

少し厳しめの内容も書いてしまいましたが、全体的に秋と比較したら全てにおいて強くなっているのは間違いありません。このチームはまだまだ強くなると確信しています。この成長を止めないためにも、次戦も勝利を心から願ってます。

私は、今年の鹿実が甲子園で輝く瞬間を見てみたいです。

 

◆気になるライバルたち

ここからは少し視点を変えてみます。野球が競技である以上、必ずつきものなのが共に勝利を求めて競う相手。

鹿実と甲子園を賭けて争うライバル校の事は常に気になります。

しかし、今大会は優勝候補と目された樟南がベスト8を前に大島に敗退。昨年秋鹿実を降した城西も鹿児島南にサヨナラ負け。そして何より衝撃的だったのは、幾度となく鹿実の前に立ち塞がってきた王者神村学園のコールド負けです。相手の枕崎が実力校なのは知られてはいますが、負けるにしても県内でのこのような大敗はほとんど記憶にありません。

こういった予想外の事が起こる度に、「ライバルは強豪、有名校だけでなく、甲子園を目指して本気で戦う全てのチーム」という事を実感します。

強豪校を倒してきた彼らの次なるターゲットは、当然鹿実です。

次戦の相手は城西を倒した鹿児島南。打線の厚みこそ城西が上だと感じましたが、エース田中投手の粘り、4番有村選手の強打は間違いなく脅威です。何よりここまで全て接戦をものにしてきたしぶとさが非常に厄介。

難しい試合になるとは思いますが、こちらも受けて戦わずに攻めて行って欲しいです。

 

選抜では大分の明豊が決勝の舞台に立っています。鹿実は九州大会で何度も敗れていますが、同じ九州勢の活躍には嬉しさと同時に羨ましさと悔しさも少し抱いてしまいます。明豊も今の強さを手に入れるまでかなり苦労しましたが、逆にいえば「同じ九州勢であそこまで素晴らしい戦いができるなら、鹿実も。。。」と思わずにはいられません。もちろん言うほど簡単ではないのは承知の上です。ただ、身近に頂点の景色を見たチームが存在する事は幸運とも言えるかもしれません。明豊をはじめとした甲子園組や、九州各県の覇者。それらの強者と対戦してこそ本当の強さが育まれると言うもの。

後2回勝って、是非とも九州行きを決めてください。みなさんならやれると、信じています。