王座「奪還」へ。鹿実野球部メンバー紹介

鹿児島高校野球代替大会が、明日いよいよ開幕します。

報道されているように鹿児島県内では新型コロナウイルスの感染が拡大しており、県高野連は当初より入場者を制限する事を発表しました。また、先日からの豪雨の影響で大きな被害を受けた地域もあります。厳しい状況ではありますが、どうにかこの大会が無事に開催できるよう、一高校野球ファンとしては強く願うばかりです。

 

今回のエントリーでは、この夏の大会に臨む鹿実野球部の選手たちを紹介したいと思います。

例年であれば新聞や雑誌、テレビ取材を通してチームの顔ぶれを知ることができますが、今年は様々な公式戦が中止になった事やメディア取材が自粛、制限されており、出場校の情報が非常に少ないです。だから、今年の鹿実はどんな選手がいて、どんなチームなのか、例年より認知されていないと感じます。

今年の3年生は宮下監督も非常に期待されていた世代で、私も1年生時代から注目してました。この世代の選手たちの事を、もっと多くの人に知ってもらいたい。そんな思いから、私が知り得る事の範囲でできる限り今年の選手たちを紹介させていただこうと思います。

なお、私は関係者ではないため正確なメンバー等は把握してません。そのため取りあげていない選手が試合に出場したり、その逆も十分あり得るという事をご理解いただけると幸いです。

また、宮下監督の「3年生で戦う」という発言を受け、今回は3年生のみを取りあげさせていただきます。

 

◆投手

○髙田隼之介(右投左打/投一外)

おそらく今年の鹿実で最も有名なのがこの選手。フレッシュリーグ串木野ドリームズ時代にはU15日本代表に選出されており、入学時から期待の高かった逸材。このブログでも何度も名前を挙げましたが、そんな彼がもう3年の最後の大会を迎える事に時の流れを感じます。

投手としては180cmの長身から伸びのある速球と、速度のあるスライダーを投げ込む本格派。打っては軸のブレないスイングで長打を期待させてくれる左の強打者です。

ただ、昨年夏は故障により欠場。野手として復帰した秋も5番に座りながら本来の力を発揮するには至りませんでした。

「伝統あるチームで甲子園を目指したい」と鹿実の門を叩いた髙田選手としては、不本意な状態が続いた三年間。今大会は投手にも復帰したようで、ここまでの鬱憤を晴らす活躍を期待してます。

 

○加島優太(右投右打/投外)

元高校球児のお父様の夢を受け継いで、喜界島からやってきた元Jr.ホークスの投手。昨年秋はエースとして県優勝の原動力になりました。

低めに伸びる速球と、右打者の腰を浮かせるスライダー、安定した制球が彼の武器です。鹿実投手陣の中では最も総合力が高く、今大会も主戦としてのを期待されるでしょう。打者としても長打力を秘めているため外野手の起用も想定されます。

ピンチでは闘志剥き出しの投球を見せ、その姿はまさしく鹿実のエース。個人的には2年時NHK旗樟南戦での好リリーフが印象に残っており、敗色濃厚なムードを一変させてくれました。今大会もチームを勝利に導く投球を見せてくれるでしょう。

 

○森重温季(左投左打)

フレッシュリーグの名門ガッツ鹿児島出身。2年前甲子園のマウンドに立った立本投手を思い起こさせる左腕で、切れ味のいい変化球で空振りを奪う投球スタイル。一冬こえて球速も140㌔近くまでにグレードアップしたとの事で、その姿を見るのが待ち遠しい投手です。

昨年秋は準々決勝の大一番を任されましたが、勝利しながらも制球力の不安を露呈しました。素材としては加島投手、髙田投手に引けを取らないだけに、さらなる飛躍を期待したいです。

 

この他一年生大会で投げた泰海斗(右投右打)投手、橋爪健志郎(右投左打)投手、変則サイドハンドの川俣怜央(右投右打)投手も控えます。

橋爪投手は、一年生大会予選で見かけた時の力のあるボールが印象に残っています。KKBで紹介された「140㌔投手4人衆」の後一人はおそらく彼ではないでしょうか。

勝ち上がるごとに日程がタイトになる今大会は、一人や二人の投手だけでは勝ち上がれません。投手陣全員の力を結集させ、優勝を目指して欲しいです。

 

◆捕手

橋本渚生(右投右打)

一年生大会予選でその強肩とガッチリした体格、力強い打撃が記憶に残った選手でした。ただ、一学年下の城下選手が入学早々にレギュラーを獲得して以降は二番手捕手に。今大会は3年生で戦う事を監督が公言している事から、おそらく彼が扇の要を任される事が予想されます。

打力、守備力とも非常にいいものを持っているだけに、今大会でその力をアピールしたいところでしょう。

好投手が揃うチームだけに、彼のインサイドワークも勝敗の鍵になりそうです。

 

内野手

○坂本大心(右投右打/三外)

この世代で最も早くベンチ入りを果たし、入学当初から期待されていた選手。それからするとレギュラー入りはやや遅れた感はありましたが、昨年秋の活躍はそれを取り返して余りあるものでした。4番打者として放った準々決勝以降2本塁打はいずれも初回。打率も7割を記録し、確実性と勝負強さを印象付けました。一見細身な印象ですがスイング自体は非常に鋭く、追い込まれても長打を発揮できる鹿実待望の右の強打者です。

昨年はその打撃力を活かすため外野を守っていましたが、入学当初はショート。雑誌では三塁と表記されていた事から、内野に再コンバートされたと予想されます。1年時の内野での俊敏な動きが印象に残っているため、個人的にもこの転向には賛成です。

今大会は打撃だけでなく、走攻守全てにおいてその潜在能力を解放してほしいです。

 

○小堺佑成(右投右打/二三遊)

鹿実の主軸打者として黄金期を築いた竹脇賢二氏が創設した東海中央ボーイズ出身。小柄な体格ながら走攻守において隙のないプレーを見せます。

打順もチャンスメークの1•2番から得点源の中軸まで様々な役割を任される。チームになくてはならないバイプレーヤー。基本的には繋ぎの打者ですが、ツボにハマった時は外野の頭を越す長打力も秘めています。プレースタイルは同じチームの先輩でもある井戸田智也元主将に近いでしょうか。昨年秋は三塁に就く事がほとんどでしたが、坂本選手コンバートの場合二遊間のどちらかに就く事になるでしょう。

このあたりのポジション争いの行方にも注目したいです。

 

○原口萌生(右投両打/一二遊)

キャプテンらしく試合展開、状況に合わせたプレーと、献身的な働きが光る選手。

昨年NHK旗で上級生打者が手も足も出なかった樟南西田投手から、代打から反撃の口火となるヒットを放っていた事が印象に残っています。全体的に引っ張り傾向で打ち取られてきた展開で見せた綺麗なセンター返し。試合の流れを変えるのは、まさにこういった選手なのでしょう。

選手権中止が決まった際の保護者に向けた県内無敗宣言もとても頼もしく、「このチームの主将が彼でよかった」と心から思える瞬間でした。最後の大会も、持ち前のリーダーシップでこのチームをまとめ上げてくれる事でしょう。

 

○文田修斗(右投左打/二三遊)

内野の要を任される守備の名手。秋は下位打線に座ることがほとんどでしたが、新人戦では3番に座るなど本来は打撃でも期待される選手です。小柄ながら決して非力ではなく、シャープなスイングから鋭い打球を放つ好打者です。

坂本選手のコンバートで内野の競争も激化してきましたが、彼には好守において存在感を発揮してほしいところ。昨年は内野守備の綻びから崩れるシーンもありましたが、鹿実の伝統は泥臭く堅実な守りです。彼が内野の統率者となり、もう一度堅守の鹿実を再建してくれる事を期待しています。

 

内野はおそらくこの四人と、一塁に髙田選手や加島選手が就くような形になるのではないでしょうか。もしかしたら急成長した秋ベンチ外の選手がスタメンを勝ち取るかもしれません。

この他、二遊間のバックアップとして大竹山歩夢(右投右打)選手、喜島勇成(右投右打)選手も控えており、守備力ならレギュラー陣に引けをとりません。

 

◆外野

○平尾大地(右投左打)

チームメイトの小堺選手とともに遥々愛知から鹿実を進学先に選んだ選手。夏の練習試合で好調をアピールしてレギュラーを勝ち取った叩き上げの選手です。

リードオフマンと外野の要を担う攻守におけるキーマン。秋は走攻守で積極性のあるプレーで、これまでの鹿実野球とは一味違った引き出しを見せてくれました。外野からの強烈な返球も必見です。

 

○平廉太(左投左打)

一年生大会で予選で見せた天才的なバットコントロールに、個人的に惚れ込んでしまった選手です。巧みな打撃で広角にヒットを量産する安打製造機。新チーム以降は不調や平尾選手や下級生の台頭でレギュラーを奪われますが、県大会では意地の活躍を見せ見事レギュラー返り咲き。

足も速い事から、平尾選手とともにチャンスメイクを期待されます。

 

その他、右の強打者古川颯志(右投右打)選手や、左の好打者瀬戸口大輝(右投右打)選手、好守が光る唐川友希(右投右打)選手なども控えます。打撃のいい投手や、内野からコンバートされた選手が起用される事も予想されます。

 

 

 

以上、ここまで私が試合で見る事ができた選手中心に紹介して参りました。ここに名前を挙げる事ができなかった選手が本番で活躍してくれたら、それはそれで非常に嬉しいです。

今大会、鹿実は唯一県内無敗ですが、決してこれは防衛戦ではありません。昨年の覇者は神村学園であり、この春選抜出場を勝ち取ったのは鹿児島城西だからです。各誌の下馬評でも神村や城西の評価が高い印象で、鹿実は概ね三番手以降。

だからこそ、挑戦者として王座を勝ち取る姿を、ファンとして期待してます。逆境でこそ、挑戦者になってこそ強いのが鹿実野球です。

そして、このチームは間違いなく強いと私は確信しています。選手の皆さんには、戦って、その結果でその実力を証明してくれる事を期待してます。

 

さあ、てっぺんとって来い!