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一年生大会優勝も、戦いはこれから

先日(というにはだいぶ時間が経ってしまいましたが…)行われたMBC旗争奪一年生大会で、鹿実野球部一年生チームは見事優勝を勝ち取ってくれました。過去2年間は本戦に出場しながらも初戦敗退。この大会では実に3年ぶりの優勝です。

正捕手城下選手や、井戸田選手、平石選手といった秋の本チームで経験を積んだ選手の活躍はもちろん、主戦を任された大村投手の好投が非常に大きかったと思います。下山選手、板敷選手、木村選手らの働きも素晴らしいものでした。

今学年は18人と例年と比べて少ない人数となりましたが、その分結束力が高かったように思いました。

 


ただし、この大会で好結果が出たからといって、彼らの将来・今後の活躍を約束するものかと言えば、それは違います。

現在本チームで二年生に混じってレギュラーを獲得しているのは城下選手のみ。鹿実野球部が強くなるためにも、彼ら自身の野球人生のためにも、彼らは今後強い「個の力」を自ら貪欲に求めていかなければなりません。下級生にレギュラーを狙える人材が出てくる事で、上級生も尻に火がつく。そういった関係が上手くできれば、このチームはもっともっと強くなるはずです。

「自分たちが最上級生になってから……」と思っていたら、高校野球生活はあっという間に過ぎていきます。そのうちに自分たちが先輩になりますし、入学してきた実力派の下級生にいつの間にか追い抜かれることだってあり得る。

だからこそ、まずは今いる先輩たちの背中を必死で追いかける事から。「試合に出てやる」「自分がチームを引っ張ってやる」、そんな野心を抱きながら、さらに強い選手を目指して欲しいです。

もちろん私が願わずとも、選手はそう思っている事でしょう。

大村投手の「来年は先輩たちと甲子園に行きたい」という決意が、それを裏付けています。

 


一方で、この大会で得た自信と経験は、必ず今後の財産になるはず。学校の名前を背負い、部の代表として戦うとはどういう事か。口で言う以上に、彼ら自身が身をもって体感し、理解する事ができたと思います。

鹿実のユニフォームを着て、闘士を全面に纏った彼らの戦い様は頼もしく感じました。私は彼らの代はいずれ必ず甲子園の土を踏んでくれるであろうと信じています。

 

 

 

受け継がれるもの

さて、今大会活躍した井戸田選手。名前を見てピンと来た方も多いでしょう。そう、2016年の選抜出場時の正捕手、井戸田貴也選手、そして正遊撃手の智也選手の弟に当たります。自称井戸田兄弟最終兵器は、「兄ちゃんたちを超えたい」という野望の下、遥々愛知から鹿実の門を叩きました。

東海中央ボーイズから鹿実を選んだのは井戸田兄弟だけではありません。二年生のレギュラーの小堺選手や平尾選手もそうですし、内野のユーティリティープレイヤーだった三年の筏選手も同チーム出身。今や一大勢力になりつつあります。

比較的新しいチームながらも、今では愛知中学硬式の有力チームと認知されるようになった東海中央ボーイズ。

 


このチームを創設したのが、竹脇賢二さん。鹿実OBで、宮下監督の次の代のキャプテンとしてチームを牽引された方です。

現役時代は不動の主軸打者として九州大会4連覇、4季連続甲子園ベスト8に大きく貢献。この頃が鹿実が最も全国の頂点に近づいた時代と言われています。

 


また、九州大会でベンチ入りした二年生の早川選手の出身も大阪。これまた本州からの野球留学です。出身チームが気になって調べてみたら、そのチームの指導者名簿の中には俣瀬直樹さんの名前が……

竹脇さんと同学年の盟友で、強打の不動のリードオフマンとして甲子園で活躍した俣瀬さん。そういった偉大なOBの方々が、鹿児島から離れた土地で少年野球の育成に携わり、その教え子が鹿実のユニフォームを着る。ファンとしては非常に胸が熱くなります。

こういったところに、鹿実の伝統は息づいているんだなと実感せずにはいられません。

 


あの時代に鹿実の名前を全国に轟かせてくれた方々がいるからこそ、今の鹿実がある。

その方々に憧れて鹿実を目指す野球少年がいるからこそ、鹿実鹿実であり続けられるのです。

今の鹿実野球部もいずれやってくる「未来の鹿実戦士」たちにとっての憧れにならなければいけません。

そして、いずれは宮下監督、竹脇さん、俣瀬さんの現役時代を超える必要があります。

鹿実の二文字を全国に轟かせる事こそが、現役選手たちに課せられた使命なのです。

 


過去が今を作り、今が未来を作る。

 


鹿実野球部の歴史を作れるのは、今鹿実のユニフォームを着ている現役選手たちだけです。

来年夏、鹿実野球部に輝かしい歴史の1ページが加わる事を願って、私は引き続き皆さんを応援していこうと思います。