逆襲へ、連覇へ……鹿実野球部夏の陣、いざ始まる!

ご無沙汰しております。今年度はこのブログを始めて最も更新が少ない1年となってしまいました。今までご覧いただいていた読者の方々には、本当に申し訳ありません。

 

夏の甲子園に直結する選手権鹿児島大会も既に開幕しましたが、今も鹿実野球部を応援する気持ちに変わりはありません。なので、遅くなってしまいましたが、今年も夏の鹿児島の頂点を目指す鹿実野球部のメンバー、チームカラーを紹介していこうと思います。

 

◆無冠に終わるも昇り調子。チームを底上げする下級生たち。

今年1年鹿実野球部は、ここまで県レベルの公式戦で頂点を勝ち取れずに終わりました。それどころか、決勝に勝ち上がった大会もありません。

実績面では秋とNHK旗を制した神村学園、春の覇者鹿児島城西、秋春それぞれファイナリストの樟南や鹿屋中央に及びません。そして今季の鹿実は、そういった実績上位校相手に苦杯を舐めてきました。

第5シードこそ勝ち取ったものの、優勝を目指すには物足りない……

現時点での鹿実に対する評価は、そういったところではないでしょうか。

しかし、敗れた試合だけ見ても鹿実野球部は新チーム結成後着実に成長してきている事がわかります。

 

【秋準々決勝】3−11鹿児島城西(7回コールド)

【春準々決勝】3−5鹿屋中央

NHK準決勝】4−5神村学園

 

秋こそ大敗を喫しましたが、着実にその点差を縮めてきています。ここには投手陣を中心とした2年生世代の成長が大きく関わっていると言えるでしょう。

宮下監督が毎年「最後は3年力」と公言するように、例年鹿実は上級生主体のメンバー構成になる事がほとんどです。ところが今年は、投手陣に関しては全員が2年生。野手も守備の要である二遊間の満留裕星(右投左打)選手、丸山陸(右投右打)選手が共に2年生であり、打線でも彼らが1-2番コンビを形成しています。投手陣に関しては3年生世代に投手経験者が少ないというチーム事情もありますが、だからといって彼らが「消去法エース」などという事は決してありません

投手陣の柱を担うのは菅田空来(右投右打)投手、西悠太朗(左投左打)投手の左右2枚看板です。

菅田投手は抜群の制球力を駆使し、縦と横の変化球で打者の的を絞らせない投球が魅力の正統派右腕です。秋の時点では球威不足な感は否めませんでしたが、ここにきてコンスタントに130キロ台中盤を記録するようになってきました。より力強さが身についてくれば、もっと名が知れ渡る投手になってきそうです。

西投手は球速こそ菅田投手より一回り落ちますが、左腕らしく右打者の懐を厳しく突く攻撃的な投球が持ち味。それでいて、左右に鋭く曲がり落ちる変化球も併せ持つなど、決して「攻め一辺倒」の投手ではありません。ゾーンを幅広く使えるという点では彼の方が上手でしょう。

彼らを追いかける存在なのが、秋のエース格として活躍した力投派・井上剣也(右投右打)投手と180センチの長身右腕・大迫比哉琉(右投右打)投手です。井上投手は秋時点で140キロを計測するなど、鹿実一のスピードを誇るパワーピッチャー。私が見た春時点の試合では調子を大きく崩している様子で、自慢の速球を簡単に捉えられるなど不安の残る内容でした。しかしそこから復調しているという情報もありますので、夏は彼の出番にも期待したいところです。

大迫投手は投手陣一の長身という事もあり、マウンド上での迫力は上記3人を凌ぐものがあります。まだまだ荒削りではありますが、同級生の活躍に刺激を受けているのは間違いないはず。この夏は戦力として稼動してほしいですね。

下級生である彼らには、もちろん夏の経験値という不安要素が付き纏うのも事実です。実際、鹿実が2年生エースを擁して甲子園に出場したのは97年が最後。そのエースは後の甲子園ノーヒッターであり、沢村賞投手であるレジェンド・杉内俊哉投手。逆に言えば、下級生投手で鹿児島の頂点に辿り突く事のハードルは決して低くないと言えるでしょう。ただ、私は彼らにそれを乗り越える力があると信じています。

そして乗り越えるためには、彼らを支える野手陣の活躍が必須。今季の鹿実は決して「投手陣におんぶにだっこ」のチームでは決してありません。

次の項目では、3年生を中心とした野手陣を紹介していきたいと思います。

 

◆荒治療に応えた主将たち……魅せろ3年力!!

昨年甲子園を経験した鹿実でしたが、秋の大会後チームに激震が走りました。当時の主将であり、甲子園でもレギュラーショートとして活躍した選手がチームを去る事になったのです。彼の華麗な守備と闘争心剥き出しのバッティングは魅力的でしたし、新チームでもチームの先頭になって牽引してくれる事を疑いなく期待していました。それだけに、その一報を聞いた時は驚きと同時に落胆した事を今でも覚えています。

ただ、彼が去った後もチームは歩みを止めませんでした。

新主将の平山翔悠(右投右打)選手は、新チーム結成直後はレギュラー当落戦上の立ち位置でした。それが今や4番を打つ事も増えてくるなど、チームの不動の主軸打者に成長しつつあります。プレーだけでなく、誰よりもグランドで声を出す姿勢や所作など、主将の肩書きもだいぶ板に付いてきた印象です。

この平山主将を筆頭に、打のキーマンはやはり3年生たち。

甲子園でもクリーンアップを打った植戸颯大(右投左打)選手のバットコントロールは県内屈指。夏もポイントゲッターとしての活躍が期待されます。何より彼は、甲子園に「忘れもの」がある選手。昨年の甲子園初戦では、ライトを守る彼のエラーが失点につながり、期待された打撃ではノーヒット2三振。いいところなく甲子園を去る事になりました。本人もきっとその悔しさを今も胸に抱いている事でしょう。今年の夏は、彼の一振りでチームを勝利に導くような活躍を期待しています。

また、昨年から代打として試合経験を積んできた4番の浜嵜真太郎(右投右打)選手や、勝負強い打撃でレギュラーを勝ち取った叩き上げの木村成(右投右打)選手、攻守共に成長著しい扇の要・溝口漣(右投左打)も頼もしくなってきました。

そんな3年生たちにも宮下監督は夏直前に「荒治療」を処方します。

NHK旗では木村選手を除く3年生レギュラーたちにほとんど打席に立つ機会を与えないという大胆な采配に打ってでたのです。そこには日々野球に打ち込む彼らの姿勢への不満と、さらにここから成長して欲しいという期待があったのでしょう。そしてその采配は、ただ「干す」だけでは終わりませんでした。

序盤から劣勢を強いられた準決勝神村戦では、後半戦から彼ら3年生を一気に投入。その際に宮下監督は「3年生の意地を見せて来い」と選手たちに伝えたといいます。

そして、途中出場した3年生たちは全員安打を放ち、指揮官の期待に応えました。特に平山主将は、最終回に1点差に詰め寄るホームランを放つなど主将の面目躍如を果たしました。もちろんその手法には賛否あるでしょう。しかし、どんな状況でも腐らず、諦めず、這い上がる姿勢を見せる。これこそが鹿実野球だと私は改めて実感しました。

今年の三年生は優等生ではないかもしれない。でも、やる時はやる男たちだ。私はそう確信しています。

彼ら上級生が強固な土台になる事によって、主力の下級生たちはより伸び伸びプレーできるはずです。その好循環を生み出す事ができれば、2年連続の甲子園は大きく近づくはずです。

 

さあ、今こそ「3年力」の魅せどころだ!!