鹿実鹿実野球部、初戦大勝も……真価の問われる2回戦

◆第150回九州高校野球鹿児島大会

一回戦

武岡台     000 00=0

鹿児島実 673 0x=17

【投ー捕】

武台:吉田、大木場、福森、山野、鮫島、本多ー渕脇

鹿実:筏、松元ー駒壽、濱崎

 

いよいよ今年の鹿実野球部が始動しました。12月から3月頭までは高校野球界はオフシーズンに入るため、この時期に試合を見ることができないのは例年通り。ただ昨年秋は鹿実が早期敗退したことに加え、久々に一年生大会本戦出場を逃す不本意な結果に。その上地元開催の九州大会では鹿児島代表の大島が準優勝という立派な戦績を残しました。これに対しては鹿児島高校野球ファンとしては嬉しさと同時に、私は鹿実ファンとしてはその場に鹿実野球部が立てない事への寂しさを抱かずにはいられなかったのが正直な気持ちです。

なので今年は春季大会の開幕を例年以上に待ち侘びたように思います。ファンにとって悔しい思いをした昨秋は、当然選手にとってはそれ以上の屈辱だったことでしょう。今年の夏こそは、その悔しさが報われる事を強く願います。

さて、今大会の初戦ですが、相手はかつて夏の決勝まで勝ち進んだ事もある武岡台。ここ最近もベスト8に顔を出す実力校でしたが、結果は見事な5回コールドゲームの圧勝でした。幸先のいいスタート……と言いたいところですが、この17-0というスコアを額面通り評価する事は難しいでしょう。相手投手陣が鹿実打線に与えた四死球は実に13個。初戦という事もあり、相手チームが地に足がついていなかった事が窺えます。選手、首脳陣はもちろん自覚しているでしょうが、この試合に関しては忘れて次戦に集中してほしいところです。

その次戦の相手は、甲子園経験校でもある鹿児島工。今季のチームも昨秋優勝の大島と接戦を演じるなど、そう簡単には勝たせてくれない事が予想されます。このチームをしっかりした形で降してこそ、チームの前進に繋がるはずです。コロナ禍における蔓延防止措置期間もあり、以前ほど練習時間を割けなくなったのはどのチームも同じ。だからこそ実践経験が何よりの練習となります。次戦は結果はもちろん、いい形での試合運びを期待してます。

 

気になった点、未知数な新チームへの期待

私が注目していたのは、スターティングラインナップにどういった9人を選ぶのかという点。秋の敗戦を受けてのメンバー変更はもちろんの事、選手の成長や伸び悩み、故障者の状態など、考慮しないといけない要素も多く全く予想できませんでした。

初戦のマウンドに立ったのは昨秋に引き続き筏投手。昨秋誰よりも悔しさを味わった彼に年明け初戦を任せるあたり、奮起を願う宮下監督の思いのようなものが伝わってくるように思います。一方投打ともに今年の中心選手だと見ていた赤嵜投手は試合を通じて出番がありませんでした。単なる温存なのか、状態面に問題があるのかわかりませんが、次戦以降は出場機会がある事を願います。

赤嵜選手が入るものだと見ていた上位打線には大きな動きがありました。主軸級の打力があると評される濱崎選手がトップバッターに据えられ、主軸の3番には新2年生の植戸選手を起用してきた事は、先に全く予想ができないとは言ったものの驚きました。昨年のチームも主軸クラスの強打者平石選手をトップに据えてから打線が機能した事から、宮下監督は同じような役割を濱崎選手に期待しているのでしょうか。

また、3番の植戸選手起用ですが、この時期の鹿実で下級生が中軸を担っていた例といえば、過去には城下拡選手、西竜我選手、綿屋樹選手と言った錚々たる面々ばかり。基本的に3年生中心のチーム編成をする鹿実にあって、下級生が打線の中心を担うのは容易ではありません。それだけ期待の高さが窺えます。実際のプレーを見ていないだけに、早くこの目で確認したい思いが強まりました。

長年のファンとしてもなかなか試合観戦の機会が少なく、未知数な部分の多い今季の鹿実ナイン。それはつまり、見る度に新たな発見があることを意味します。今年も例年通り、いや例年以上に鹿実を見たいという気持ちが燃え上がってきました。だからこそ、この春は一戦でも多く彼らのプレーを可能な限りチェックしていきたいと思います。

 

さあ、プレイボールだ。グランドで精一杯暴れて来い!