爪跡、残す

第145回九州高校野球大会

一回戦

鹿児島実2-3宮崎日大


宮崎日大000 300 000=3 H12E0

鹿児島実110 000 000=2 H6  E0

▽投手

【宮】谷本、岩崎

【鹿】加島

▼二=池邊、伊藤(宮)、文田、平尾(鹿)


押し切れず、逆転許す

鹿実は初回満塁からの押出し四球、二回にはスクイズを決め序盤で2点のリードを奪うも、中盤四回に宮崎日大打線の猛攻を受け逆転を許す。

中盤以降は宮崎日大二番手岩崎から散発3安打に抑えられ、完全に主導権を明け渡す形に。

最終回も一打同点の場面を作るも活かす事が出来ず、鹿実は一回戦で姿を消す事に。

来春選抜出場は絶望的となった。

 

■自信の打線、機能せず…

私自信「九州は甘くない」「簡単に勝たせてはくれない」と言い聞かせるように言及してはきましたが………残念ながら、あらためてその事を痛感する結果に終わってしまいました。

私は試合観戦はできていないため今回はスコア上での振り返りになりますが、どうかそのつもりでご理解いただけたらありがたいです。

 

客観的に見て、無失策の一点差負け。決して悪い試合内容ではないと思います。

ただ、スコアを見て一目瞭然なのは、相手チームとの安打数の差。打力に自信を持ったチームが6安打2得点、タイムリーヒットなしは率直に寂しいです。

宮崎日大二番手の岩崎投手には僅か3安打に抑えられ、完全に流れを持っていかれた形になりました。

九州・全国といった上のレベルの投手を打ち砕く打力が不足していたと言う事実。これを受け入れて鍛え直さなければ先へ進む事はできません。

鹿児島一位として、大きな期待を背負った上での初戦敗退は、本人たちが一番悔しさと無念を抱いている事でしょう。当然、周囲からも厳しい声を浴びせられると思います。

ただ、ここからです。これが新チーム最初の敗戦。何度もしつこいかもしれませんが、負けた悔しさを知って強くなるのが鹿実野球です。ちょうど10年前の九州大会に出場した先輩達は宮崎代表の好投手を打ち崩せず、こちらも初戦敗退でした。しかし翌年夏は甲子園に出場し、2試合合計21得点をあげる強打のチームに変貌しました。

私は当時のチームと比較しても、総合力は負けていないと思います。

これから一年間、打撃だけでなく全てを鍛え直し、再び「鹿児島代表」を勝ち取ってください。私は鹿実野球部の皆さんの力と、今後の成長を信じています。


鹿実野球を「正解」に導くため

敗れはしましたが、鹿実野球部は佐賀の地でも多くの人を魅了したと思います。SNS上では、あの大きく手をあげる入場行進、統制の取れた集団行動、所謂「軍隊野球」に惹かれたという投稿が拡散されていました。

もちろん、人によっては受け入れがたいと感じるかもしれません。

しかし、鹿実の野球が他のチームとは一味違った魅力を放っているのは事実です。

私もそこに惹かれてファンになりましたし、現役の選手の多くもそのはずです。

宮下監督でさえ、鹿商工入学がほぼ決まっていながら進路を鹿実に変えた理由がそこにあると明かしています。

あるOBはこう言っていました。

「家族でもOBでもない人たちが、わざわざ時間を割いて応援に来てくれるのが鹿実野球部。だから自分たちは、その人たちを納得させる野球をしないといけない」

それほどの覚悟で野球をしていたのかと、鳥肌が立ったのを覚えています。きっとその覚悟は、今の現役の選手たちにも受け継がれていることでしょう。

私は鹿実野球の魅力が、もっともっと多くの方に伝わってほしいと思っています。ただ、そのためには鹿実が勝ち続けて、鹿実野球を発信して行かなければなりません。

宮下監督の口癖である「勝って我々の野球を正解にする」とは、つまりそういう事なのでしょう。

来年こそはその「正解」に辿り着けるよう、私も全力で応援したいと思っています。

 

 

 

最後になりましたが、鹿実を降した宮崎日大野球部、そして鹿児島代表の鹿児島城西野球部には、心から健闘をお祈りします。

勝手な話ですが、是非とも鹿実のぶんまで勝ち進んで、選抜を勝ち取ってください!