前回記事で「開幕までに続きを…」と言いながら、結局ギリギリになってしまいましたm(__)m
前回は打線について、それも右打者に絞って今季のチームの特徴を私なりに紹介していきました。
今回はもっと全体的なチームカラーについてお話ししていきたいと思います。
まずはこのチームの長所を列挙していくと…
①例年以上の得点力
②バッテリーの失点抑止力
③チーム内競争力
こういった感じでしょうか。以下、一つ一つ深掘りしていきます。
①例年以上の得点力
前回記事とやや内容が被りますが、今年の鹿実はなんといってもこの部分に自信を深めているように感じます。先に述べた右の強打者の充実はもちろんの事、守りの要でもある3番城下捕手、5番髙田選手ら左の強打者も例年通り健在。この二人は右投げ左打ちではありますが、自分のポイントで強くボールを叩ける力強さも兼ね備えてます。
シャープなスイングで低く強い打球を飛ばす平尾選手や、バットコントロール抜群の平選手、小柄ながら力強いスイングが光る文田選手も例年なら主軸クラスの打者です。
ただ、単に打力が強いだけが今年の鹿実のストロングポイントではありません。
今年のチームは得点パターンのバリエーションも数多く持っています。
鹿屋中央の一点ビハインドの場面で決めた原口選手のスクイズや、得点にこそ絡まなかったものの決勝で見せた平尾選手の連続スチールが、その象徴ではないでしょうか。
強打強打だけでなく、相手を見ながら足でかき回したり、ここぞの場面で手堅い攻めも展開できる。
秋の時点でこれだけの野球ができるチームは久々ではないでしょうか。
もちろんレベルが上がる九州大会で同じように戦えるほど甘くはないでしょうが、充分自身を持って戦える武器だと私は確信しています。
②バッテリーの失点抑止力
県大会4試合の先発を任され、今ではすっかりチームの柱としての信頼を勝ち取った加島投手。
元々マウンド上での度胸や投げっぷりが魅力の投手でしたが、最上級生になり逞しさや風格が増してきたように感じます。ビシッと低めに決まる速球に、右打者の腰を砕くスライダーのコンビネーションが持ち味の投手ですが、何より「自分がマウンドを守るんだ」という強い気迫がこの投手最大の武器。彼のような投手がいると、宮下監督も非常に心強いはずです。
そして彼を献身的なリードで支えるのが、この夏一年生ながら正捕手に抜擢された城下捕手。U15侍ジャパン経験者という事で早くから期待されてはいましたが、今のところその前評判通りの働きで最早チームになくてはならない存在になりつつあります。捕球、送球、ブロッキング、フレーミングと捕手に求められる要素は一年生とは思えませんし、タイムを取りマウンドに駆けつける姿勢など、捕手らしく目配り、気配りの効く選手だと感じます。捕球してから投手へ返球するテンポも早いので、ここら辺も投手が投げやすくなるための工夫をしているように感じます。
準決勝の鹿屋中央戦の失点もエラー絡みのもの。県大会通してバッテリーが大崩れしなかった事も大きな勝因といえるでしょう。
③チーム内競争力
新チーム結成後新人戦、県大会と公式戦無敗で駆け抜けてきたこの数ヶ月。
ただ、元々このチームは旧チームからのレギュラーが城下選手しかいない状況だった手探り状態でのチーム結成でした。
そんな中、内野の守備の要として期待されながら、文田選手、原口選手、小堺選手の台頭で外野コンバートされた坂本選手が打撃で存在感を発揮し4番に定着。
平尾選手の台頭と打撃不振でレギュラーを剥奪された平選手が、県大会準決勝と決勝では共に2安打ずつの活躍。
平選手の復活で下位打線に回った平尾選手も、センターの守備では再三の好プレー。
一年生の井戸田選手や平石選手も隙あらばレギュラーを窺うような働きを見せていました。
上級生だけでなく、下級生も含めたチーム内の活性化がこのチームを強くしたと私は感じています。
スタメン9人だけでなくベンチ入り20人が戦える集団じゃなければ、九州大会優勝は難しい。
そういった意味では、今年のチームは9年ぶりの九州の頂点を目指す資格が充分にあると思います。
宮下監督は「目標は選抜ではなく、九州制覇」と力強く公言し、その強い志は選手一人一人にも浸透してます。
何度も指摘するように、九州大会の出場校は強敵だらけ。そう簡単に勝たせてはくれません。
しかし、彼らのここまでの戦いぶりを見ていると、やはりファンとしてその大願成就を期待したくなってしまいます。
ただ一方で、このチームが抱える課題ももちろん存在します。
❶内野守備の安定感
❷二番手以降の投手の育成
❸好投手の攻略
この三つが挙げられるのではないでしょうか。
❶内野守備の安定感
県大会で最も目立った箇所がこの部分。
準決勝鹿屋中央戦の苦戦はまさにここから崩れて失点したのが原因でした。やはり一試合4失策、1イニング3失策は多すぎます。
ただ、私は今年のチームが守備が悪いチームだとは思いません。実際内野手、外野手とも動きは軽快ですし、準々決勝はあわや失点という場面を好守により何度も凌ぎ切るという展開でした。
難しいゲッツーも難なく処理する二遊間も例年通り。
やはり、経験値や練度の部分の問題でしょう。
県大会の経験は、そういう意味でこのチームの良い薬になったはずです。この段階で一つのプレーから一気にゲームが崩れる野球の怖さを知っている事は、先々の事を考えたら必ず強みに変わるはずです。
数週間前と決して時間は経ってないですが、あの経験を生かしてどう成長してきたか。その部分も私は楽しみにしたいと思います。
❷二番手以降の投手の育成
新人戦でエースナンバーを背負ったのは、実は加島投手ではなくサウスポー森重投手。
ただし、大一番準々決勝の先発を任された森重投手の投球は、本調子とは程遠いものでした。元々制球に不安があるタイプではないのに、とにかくボールが全体的に高く、何度もピンチを招く苦しい展開。一歩間違えば大量失点してもおかしくない内容でした。
あの内容からどこまで修正してこれているのかが気になります。
現代高校野球で一人の投手の力で勝ち上がるのはほぼ不可能。だからこそ、彼の成長はチームにとっても重要事項です。
右の加島、左の森重の左右二枚看板が形成できれば、このチームは更なる飛躍を遂げる事でしょう。
元々持っているボールは素晴らしいので、九州大会では本来の投球が見られる事を期待してます。
❸好投手の攻略
「打力に自信あり」とは言いましたが、近年の鹿実の大きな課題の一つがこの部分。
今年の夏の国分中央・今村投手は記憶に新しいですが、全国の舞台でも智弁学園・村上投手、中京大中京・上野投手といった全国レベルの好投手に苦しめられてきました。
全国で結果を出しているチームは、例外なく好投手を攻略する力があります。
チームの志が高い以上、私はこの部分の強さを今季の鹿実に求めたいと思います。
先日のドラフト会議でも興南・宮城投手、有明・浅川投手がプロ球団に指名されたように、九州は好投手の宝庫。そういったハイレベルな投手を攻略できなければ、九州制覇は難しいでしょう。
しかし、「どこよりも多く振り込んできた」という彼らの言葉に、嘘偽りはありません。
私もファンとして、信じて応援したいと思います。
さあいよいよ明日、初戦の相手は宮崎日大です。
鹿実同様打撃に自信を持っているチームですが、だからこそ立ち上がりの守りが重要になってくるでしょう。
試合は見に行けませんが、皆さんがベストを尽くせるよう健闘を祈ります!