いざ神村戦へ!準決勝展望

日付変わって今日、決勝進出をかけた準決勝の鹿実対神村戦が行われます。

さて、ブログの表題ですが……当日の深夜にこの記事を書く意味はあるんだろうか?とも迷いましたが、こういったものは後から振り返る事に意味があると私は思ってます。試合前にあれこれ考え、たとえ的外れであろうが言いたい事を言ってしまいたくなるのが野球ファンの性というもの。そんな欲求に任せて今回は両チームの力を私なりの分析を述べていきながら、この試合の展望を簡単に行なっていきたいと思います。

なお、客観的な視点も交えるつもりではありますが、私自身は鹿実ファンであり、この記事の見解は決して両チームに公平な内容ではない事を先にご了承ください。

 

【攻撃比較】好調の打線は共にトップバッターが牽引。後続が繋ぐ事ができるか。

鹿実、神村のチーム成績を比較した時、まず目を引くのが互いの打線の好調さです。チーム打率は神村が.409と好成績ならば、鹿実はそれを上回る驚異の.500ちょうど。それぞれ8得点未満で終わった試合はなく、打撃に自信を持ったチーム同士の戦いになると言えるでしょう。

さらに共通するのが、共に1番打者がチームを牽引する強力な得点源になっている事です。

神村の1番甲斐田選手はここまで大会最多の4本塁打を放つなど、立ち上がりからバッテリーに強いプレッシャーを与えてくる選手です。

一方の平石選手はホームランこそないですが、こちらも強打の1番打者。大会打率はチーム打率と同じ5割ながら、特筆すべきはそのプレースタイル。打席では剥き出しの闘志を纏い、初球から相手投手に喰らい付いていく姿勢はまさに切り込み隊長と言うに相応しいもの。その中で厳しいボールはファールで粘ったり、強引に行かず逆方向に打ち返す確かな技術も兼ね備えています。それが発揮されたのが、大島戦の先制タイムリーでした。鹿実打線は彼の存在に牽引されてここまでの好成績を残していると言っても過言ではありません。

両チームのバッテリーは共に、まずこの1番打者の対策を求められている事でしょう。鹿実としては平石選手がこれまで通りチャンスメイクして勢いに乗り、守りでは甲斐田選手をしっかり抑えて神村の勢いを削ぎたいところです。

ただし、神村は甲斐田選手を抑えれば何とかなるほど易しいチームではありません。神村打線が持つストロングポイントは、どこからでも長打が打てる強打にあります。ただ振り回すだけの打線なら対処に困りませんが、神村の場合ほとんどの打者は半端な変化球には手を出してくれず甘く入れば簡単に振り抜いてきます。バッテリーとしては、息を抜く場所に困るチームです。こういうチームの場合、見え透いた交わす投球では後々苦しくなるだけなので、バッテリーが攻めの姿勢をどこまで意地できるかが求められてくるでしょう。経験豊富な城下主将のリードに期待したいところです。

長打力ではやや遅れをとるものの、鹿実の打線の切れ目のなさは神村にとっても脅威なのは間違いないでしょう。ここまで勝ち上がってきた試合同様、チーム単位で束になって相手投手へ襲いかかる事ができるか。プレッシャーをかけるためには早い回での先制点が欲しいところです。もちろん神村としてはこの数日鹿実打線を研究してきているはずなので、そう簡単に点を取らせてはくれないでしょう。打線の核である平石選手、城下選手、井戸田選手は特に厳しいマークにあう事が予想されます。その中で鍵となるのが、後続の打者の働きです。主軸への繋ぎが求められる福崎選手、城下選手や井戸田選手の後ろを打つであろう板敷選手、準々決勝で復調を印象付ける活躍を見せた元4番打者小倉選手らにはここぞという場面での一打を期待してます。

 

【守備・投手比較】互いに読めない先発。総力戦がものを言うか?

鹿実・赤嵜投手、神村・内堀投手と共に2年生左腕に先発マウンドを託してきた両チーム。例年ならばここで両者満を持して準決勝にエースを立てる……という予想になるところですが、今年から設けられた1週間近くの休養日は両ベンチの采配に大きな影響を与えるはずです。準々決勝の先発を任された2人は決して「二番手投手」という立ち位置ではなく、ゲームメイク能力に関して言えば3年生のエースを凌ぐ評価をされているようにも見受けられます。

神村は3回戦の泰投手の投球をベンチやチームメイトがどう捉えているか。「お前が立ち上がりが悪い事や四球出す事は計算済みだ。持ち前の真っ直ぐでグイグイ押していけよ」と背中を押せているなら、これほど戦いにくい相手はいません。逆に一点を惜しんでくるようならば、こちらが付け入る隙が増えるでしょう。

一方鹿実は先にも述べたように、守りの面でも攻めの姿勢を失ってはいけません。失点を防げるに越した事はありませんし、もちろん長打警戒は必須。しかし、長打を恐れすぎて腕の振りが鈍くなる事や、不利なカウントから少ない選択肢での配球を強いられる状況の方がより状況を苦しくするからです。ここまで最も安定感のある投球を見せているのは赤嵜投手ですが、私はエース大村投手にこの大一番を託す可能性も十分あると見ています。この一年、公式戦で2度の敗戦投手を経験してきた彼ですが、その度に成長を遂げてきました。130超えるのに精一杯だった球速は、先日の準々決勝でついに140キロを超えてきました。もちろん近年の高校野球では突出した数字ではありませんが、彼の武器は「強い球」を常に放れる事です。強いスピンが効いた球が140近くの球速で厳しいコースに決まれば、神村打線も手を焼くはずです。この3年間バッテリーを組んできた城下選手のミットを目掛けて、ここまで磨き上げた球を自信を持って投げ切って欲しいと思います。

もちろん、もしこの決断をするならばチームとしては信頼してエースに託すべきですが、一方でベンチの立場としては過度な「信用」は禁物。常に先を見据えて、先手を取れるようピッチャーを準備させていくはずです。後手後手の継投は最も避けたいところでしょう。先発マウンドでない場合は野手でスタメンが濃厚な赤嵜投手や2試合登板のある森山投手はもちろん、ここまで登板のない筏投手も含めて全員がマウンドに立つ気持ちで準備して欲しいところです。

当然、投手を支えるバックの守りも重要になってきます。27個のアウトを捕るため、常に最善の準備と集中力を保ち続けられるか。日にちが空くだけに実戦感覚がどこまで残っているかもきになりますが、とにかく立ち上がりの守備でしっかりリズムを作って行って欲しいですね。

圧倒できるに越したことはありませんが、おそらくそんな楽な試合にはならないでしょう。もつれた試合になった場合、最後にモノを言うのはチーム全員の力です。

 

求めるのは、己が極めし野球道

ここまで様々な見解を述べてきましたが、結局のところ試合になってみないとわかりません。野球は筋書きのないドラマ。どちらかが一気に流れを掴んで呆気ない結果になる事も、息を呑むような重苦しい展開になる事も十分あり得るでしょう。

鹿実ファンとしては、ここ数年夏の頂点を極めている神村はどうしても倒して欲しい相手です。しかし、それ以上に期待しているのが痺れるような最高の試合です。勝利を目指すのは当然として、鹿実らしく勇ましい戦いぶりが発揮される事を願います。ここまで必死に取り組んできた事と、困難を乗り越えてきた自分を、仲間を信じて。あとはふてぶてしく堂々と戦ってくれさえすれば、ファンとしては言う事はありません。

私自信は残念ですが球場に行く事も、リアルタイムで観戦する事も叶いません。しかし、今回も心からの声援を贈らせていただくつもりです。

 

負けるな!今の君たちならやれる!!