trust

昨年は100回記念の選手権、そして創部100周年を見事甲子園出場という形で飾った鹿実野球部。

今年は101回目の夏へ向け、101代目の選手たちの戦いが始まろうとしています。

 

とはいっても、周囲の期待度や温度感は、昨年ほど高まってきていない印象です。

「去年のメンバーと比べたら、今年は……」「レギュラーも全員入れ替わったし、秋も結果出せなかったしなあ……」「去年甲子園行けたし、鹿実はしばらくいいでしょ……」

空気感としては、こんな感じでしょうか。

 

冗談じゃない。

とんでもない。

 

昨年秋のエントリーでも述べましたが、私は今年の鹿実が弱いチームとは決して思っていません。

内容は完敗でしたが、秋の敗戦は優勝した神村と紙一重の戦いを演じた城西相手の僅差の試合。メンバーが入れ替わったとはいえ、個々の能力は昨年の先輩たちと比べて大きく劣っているわけではありません。足りないのはチームとしての成熟度。これから埋めて行く部分です。

何より、昨年甲子園に行ったとは言え彼らにとっては一生に一度の高校最後の夏、特別な年なのです。無関係なファンは時々「◯◯が勝ちすぎて面白くないから、そろそろ負けて欲しい」などと残酷な事を口走りますが、彼ら高校球児はいつだって負けたら終わりの明日なき戦いに挑んでいます。

だからこそ、私は今年も鹿実野球部に栄冠を手にして欲しいと願います。今年は昨年味わえなかった、甲子園での勝利の歓びを感じてほしい。

 

しかし、現実に目を向けたらそう簡単に事が運ばないのもまた事実。鹿児島大会の連覇は2012年の神村が最後で、鹿実も98年の三連覇以来連続出場を果たせていません。

ライバルとの力関係を客観的に分析してみても、現時点では神村、城西、鹿屋中央あたりが先を行っているのは認めなければなりません。これをひっくり返すのは至難の業。

さらに、鹿実野球部自身が乗り越えないといけない壁もあります。高校野球に限らず団体競技では良く「結果が出ている時は良いが、いざ勝てなくなると自分たち自身の力、スタイルを信じる事が出来なくなる」という負のスパイラルがあると言われています。昨年新人戦、秋県大会、一年生大会と結果を出せなかったダメージは、決して小さくてはないでしょう。

おそらく、昨年以上に難しい戦いを強いられる事になるはずです。

 

それでも、私は鹿実野球の持つ可能性を信じています。

なぜなら、鹿実野球部は過去幾多の逆境を跳ね除けて来た実績があるからです。

創立100周年を飾った4年前の甲子園出場も、チームのスタートは神村戦のコールド負けからでした。レギュラーも全員入れ替わり、公式戦でも一度も決勝に進めなかったチーム。そんな世代が、何度も負けを重ねる度に強く逞しく成長していったのです。

昨年のチームだって、春の樟南戦のコールド負けを見た時は「夏は厳しいかな」と思ったものでした。そこからのチームの成長は語るまでもないでしょう。その先輩たちの背中を真近で見てきた世代。負けっぱなしのまま、ただで終わる訳が有りません。少なくとも私はそう信じています。

 

だから……と言ってしまったらファンのエゴになってしまいますが……

彼らには、自分を自分たちを、仲間を信じて戦えるチームとなって欲しい。ヒット数で勝ろうが、ノーエラーで試合をまとめようが、たったひとつのプレーをきっかけ敗れてしまう事もあり得るのが高校野球。そんな戦いの中、強い拠り所となるのは自らを信じる力。決して妄信するのではなく、純粋に己が力を信じる力。それさえ手にできれば、このチームはガラッと変わるはず。

そのための日々の厳しい練習であり、寮生活であると。

 

過去の先輩たちは、皆乗り越えて来ました。乗り越えた先輩たちは皆、誇らしく思い出を語ります。

君たちも、いずれそうなってほしい。

 

頑張れ、101代目の戦士たち。私は君たちの戦い様を、可能な限り見届けたいと思います。