センバツへ、そして夏へ向けて

今週開幕した秋季鹿児島県大会。

まずはこの大会について簡単におさらいをしようと思います。

 


①各地区新人戦優勝校+鹿児島市2位、3位を合わせた8校がシード校に(離島は熊毛・大島両地区優勝校が隔年選出で、今年は大島に)

②大会優勝、準優勝の2校に九州大会出場権

③九州大会で好成績(具体的にはベスト4以上)を収めた場合、来春の選抜高校野球九州代表に選出される可能性も

 


①は今年の場合鹿児島市優勝の鹿実、2位玉龍、3位鹿南。あとは市外地区新人戦優勝の神村(南薩)、川内商工(北薩)、加治木(姶良)、鹿屋中央(大隅)、大島(大島)の8校。シード校とはいえ、そこはあくまで新人戦の結果。一カ月たった今では力関係が変わっている事もあり、既に川内商工、鹿南が敗れています。

②は文字通り。

③の九州大会は来月下旬佐賀での開催。春の甲子園大会・選抜高校野球に繋がる重要な大会と目されていますが、正式にはあくまでも「参考資料」という扱い。概ねベスト4以上で選抜選出が堅いですが、コールド負けなどの試合内容で評価を落とした場合は落選もあり得ます。

 


夏の選手権という一年で高校野球が最も注目を浴びる大会から1〜2カ月と期間が開かないまま開幕するため、例年注目度はイマイチです。しかし甲子園につながる大事な大会である事は間違いありません。

 


その上で例年と異なる点もいくつかあります。

 


❶今大会上位校には、来夏の県選手権のシードポイントが与えられる(ベスト8以上で加点)

❷連合チーム増により出場チーム数減少。決勝まで最大六回戦、二回戦から出場の場合5勝で優勝に

❸九州大会の開催県枠撤廃。各県2代表の16校によるトーナメントに

 


❶は正確には今年夏からですが、アナウンスが流れたのは今春の県大会組合わせから。昨秋の時点では知らされていなかったため、今年が初めて「シードポイント導入の秋季大会」となります。

春の選抜に向けた戦いであるのはもちろん、夏に向けた戦いである事も意識しなければなりません。

❷は鹿児島の野球人口減少という現実を否が応でも直視しなければなりません。かつて鹿実の前に立ち塞がった薩摩中央、頴娃、喜界といった実績のある学校が単独参加が出来なくなった事実は寂しいですが、その分この大会を盛り上げていかなければなりません。

シード8校のうち鹿実、神村、鹿屋中央の3校は二回戦登場。そのため4連勝で九州大会、5連勝で優勝となります。この3校が何故二回戦登場となったかは不明ですが、恐らく直近の甲子園出場校を輩出した地区であると言う点が評価されたのかと思います。

❸は今までは「九州沖縄8県16代表+開催県の3〜4位合わせた18校」に九州大会出場権がありました。しかしこの場合、今までは所謂「地下一回戦」という著しい不利を強いられる組み合わせが発生してました。一回戦を勝ち上がったチームは休養日まで最大3連戦を戦うため、ベスト4がかかった準々決勝では連戦の消耗が原因で敗れてしまうチームもありました。今回の改正は、その日程上の不公平を解消する意義があるはずです。

 

 

 

鹿実は30日の日曜日に初戦を予定しており、種子島-奄美の勝者と対戦します。

神村のブロックに有力校が集中した事や、4勝すれば決勝という日程上の有利さから「九州大会出場は堅い」という声もあります。

しかし、そう簡単に結果が出せるほど高校野球は甘くはありません。特に秋はチームの成熟度や経験値が低いため、思わぬ苦戦を強いられる場合もあります。先日現役を退いた横田選手の世代の秋は絶対的優勝候補に推されながらも、当時伏兵扱いだった尚志館に三回戦で敗れました。

今大会も鹿実のブロックには川内、鹿工、武岡台といった実績校が存在するため、油断は禁物。同ブロックのシードには、今や県を代表する強豪となった大島。夏ベスト8の主力が多数残るため、対戦が実現したら強敵になるのは間違いないでしょう。

同じ右側の櫓には鹿屋中央がおり、こちらも県屈指の内野手・山本聖選手が残る強力なチーム。

4連戦とはすなわち、これらの強敵を降し続ける事を意味します。決して簡単な事ではありません。

 


ただ、今年の鹿実が例年以上に期待が高まっているのもまた事実。

今年の2年生は下級生時から期待された世代。

怪我の離脱から野手として復帰した髙田選手や、打力を買われ4番に座り新人戦優勝に導いた坂本選手。旧チームからマウンドを任されて来た加島投手、森重投手という左右両輪。さらに入学早々に正捕手の座を射止めた城下捕手など、力のある一年生が加入してチームは底上げされました。

下級生時から試合に出ていた選手もレギュラー確約とは言えず、ポジション争いも熾烈です。

あとはこの個々の力を、チーム力という形にできるかどうか。とにかく、チームを勝たせるにはどうすればいいか?それを、一人一人が絞り出すようにプレーしてほしいです。

 


間違いなく力はあります。だからこそ、それを試合で証明して欲しい。

その上で結果に囚われず、大胆に戦って欲しい。

 

一ファンとして、今大会も健闘を祈ります。